今回の選挙を選管から発表されたデータに基づいて簡単にまとめると、盛り上がっていたのは東京をはじめとする大都市圏のみである。地方は一様に選挙に対する興味を失い、震災地、及び震災地近隣県は更に震災の影響で政治離れを加速させた、ということになると思います。特に福島が激下がりになることは理解できます。ただ、私は山形出身で、理由があって、震災後は軽く月いちくらいで帰っていたんですが、壁にヒビが入ったりしたところはあったものの、ほとんど震災の影響はなかったんですけどね。前回から10%、基準から見ても5%減ということは、「選挙どころじゃねーよ」くらいですよね・・・うーん・・・。もっとも「暮らして」はいませんから、実際の感触は分からないんですが。 |
まとめ
飽くまで、選管から発表された都道府県の投票状況から見れば、ということになりますが、都市圏で感じている投票と地方とではかなり乖離があった、という結論になると思います。この辺は、本当のところは地方にいる方しか分からないところでしょうが。 特に私は脱原発派で、東京を中心に盛り上がっていましたし、マスコミの「自民300議席」という報道に反感も多いだろう=今回の選挙に対する関心も高いだろう、と思い込んでいた、ということになりますね・・・そうなのかー・・・。各状況については、 →史上最低の投票率について考察する[東京の状況] →史上最低の投票率について考察する[都府県の状況] を参照してください(別ウインドウにしてあります)。 まず、衆院選について軽くさらっておきたいのですが、選挙制度が始まってから約120年。大雑把に言えば、投票率は右肩下がりです。特に1990年を境にして、70%を一度も超えていません(→衆議院議員総選挙@wikipedia)。直近で高いところは、第44回:郵政解散(67.51%)と第45回:政権交代(69.28%)です。それ以前の3回は60%前後です。今回は最低投票率の59.32%ですから、全体的に言えば、「選挙への関心は元の木阿弥」ということになると思います。ただ、都市部と震災地で変化が生まれました。 ・・・繰り返しますが、選管から発表されたデータに基づいた解釈をやってます。私の意見は除外して。 ■都道府県の分析 前提として平成15年を基準とします。これが近年('90以降)の選挙への関心度という解釈です。 平成15年 全国(59.86%)(←基準) 平成17年 全国(67.51%)(←郵政解散で関心度アップ) 平成21年 全国(69.28%)(←政権交代で関心度更にアップ) 平成24年 全国(59.32%)(←元の木阿弥) 東京は盛り上がりを見せました。 平成15年 全国(59.86%)/東京(58.27%)(←基準) 平成17年 全国(67.51%)/東京(65.51%) 平成21年 全国(69.28%)/東京(66.35%) 平成24年 全国(59.32%)/東京(62.20%)(←基準に戻らず/全国平均を逆転) 東京は前回、前々回よりも下がったのですが、基準に戻らずに+4%を維持しました。東京については、全国平均を下回るのが常だったのですが、今回ばかりは+3%近く上回っています。サンプリングで抽出した13県の中では唯一の現象ですので、東京には選挙への関心を促す特別な要因があった、という推測が成り立ちます。 可能性としては、 1.都知事選とのダブル選挙。ただ、東京都知事選挙というのは過去の例を見ると、国政選挙に輪をかけて人気がない。もっとも、長く続いた石原都政が終了するということで、そういう意味での関心は高かったのかもしれません。説得力は強くないですが、無きにしも非ず。 2.脱原発運動は東京を中心に盛り上がりました。日本のマスコミはほとんど取り上げませんでしたが、週末毎のデモを実際に見て関心を持った人もいるでしょう。都知事選でも宇都宮けんじ氏が立ったこともあり、この可能性も考え得るのですが、データ的には、脱原発を主張した3党(未来、社民、共産)の合計の支持率は約16.4%であり、一方、宇都宮けんじ氏の得票率も約14.6%で猪瀬氏の1/4にしか過ぎません。しかもこれは投票者数に対しての数字ですから、有権者数から見ると、3党の支持率は約10%で宇都宮氏は約9%です。これが要因になったとは考えにくい。もちろん、普段は投票しない人が脱原発で投票したために投票率が上がった、という解釈もできないことはありませんが。 ※3党支持率は http://sokuho.h24syuugiinsen.metro.tokyo.jp/sokuho/h24shu_hkai_s.htmlを参照 宇都宮氏の支持率はhttp://sokuho.h24tochijisen.metro.tokyo.jp/sokuho/h24chi_kai.htmlを参照 結局、これといった理由は見当たらないのだが、何やらかんやらで東京は盛り上がった、ということに。 大都市を擁する人口の多い県は、 平成15年:第43回 神奈川(57.72%)/大阪(54.89%)/愛知(59.25%)(←基準) 平成17年:第44回 神奈川(67.01%)/大阪(65.32%)/愛知(65.87%) 平成21年:第45回 神奈川(68.25%)/大阪(66.77%)/愛知(69.87%) 平成24年:第46回 神奈川(59.86%)/大阪(58.37%)/愛知(60.23%)(←基準に戻らず) 東京ほどではないのですが、同じような傾向にあります。 地方の県は、 平成15年:第43回 鳥取県(62.45%)/山梨県(63.48%)/長崎県(62.04%)/滋賀県(61.38%)(←基準) 平成17年:第44回 鳥取県(72.82%)/山梨県(71.26%)/長崎県(68.99%)/滋賀県(69.49%) 平成21年:第45回 鳥取県(75.27%)/山梨県(70.65%)/長崎県(68.32%)/滋賀県(70.64%) 平成24年:第46回 鳥取県(62.91%)/山梨県(63.67%)/長崎県(60.10%)/滋賀県(61.74%)(←元の木阿弥) 全国平均に近い形で「元の木阿弥」=政治に関する興味を急速に失った、ということになると思います。 栃木県がイレギュラーの動きをしているのですが、福島の隣接県で、被災地と同じ形ですので、とりあえず被災地と一緒に記載します(基準から5%以上下落した場合赤太文字)。被災地は、 平成15年:第43回 岩手県(67.30%)/宮城県(58.88%)/福島県(67.26%)/栃木県(59.79%)(←基準) 平成17年:第44回 岩手県(70.79%)/宮城県(64.55%)/福島県(71.57%)/栃木県(65.55%) 平成21年:第45回 岩手県(73.39%)/宮城県(67.34%)/福島県(72.82%)/栃木県(67.33%) 平成24年:第46回 岩手県(61.67%)/宮城県(55.23%)/福島県(58.85%)/栃木県(54.72%)(←震災分プラスか?) 被災地に関しては、ドン引き、というか「選挙どころではない」ということなのでしょうね。分かる気もしますが・・・。ちなみに、赤太文字(注目ライン)が5%とすることに対して根拠はありません。見やすいように、という便宜的な手法です。 もう少し広げて、被災地として茨城県、隣接地として青森県、秋田県、山形県を見てみます。 平成15年:第43回 茨城県(55.95%)/青森県(57.51%)/秋田県(66.70%)/山形県(69.60%)(←基準) 平成17年:第44回 茨城県(64.43%)/青森県(65.04%)/秋田県(70.56%)/山形県(73.79%) 平成21年:第45回 茨城県(67.60%)/青森県(68.49%)/秋田県(73.29%)/山形県(74.88%) 平成24年:第46回 茨城県(58.84%)/青森県(54.17%)/秋田県(63.22%)/山形県(64.83%)(←震災分プラスか?) ※茨城県平成15年は詳細データ不掲載のため当該ページで代用、茨城県平成17年は当該ページの第44回衆議院議員総選挙<比例代表>・投票状況速報・投票状況確定速報(計1)[xls]、茨城県平成21年は当該ページの第45回衆議院議員総選挙<比例代表>・投票状況速報・計(投票者数・投票率)[xls]、茨城県平成24年は当該ページの第46回衆議院議員総選挙<比例代表>・投票状況速報・計(投票者数・投票率)を参照[xls]を参照。 青森県平成15年、17年は詳細データ不掲載のため当該ページ(一覧)で代用。但し、比例区の結果ではない。 秋田県平成17年は当該ページ・平成17年9月11日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査・比例代表の投票結果と開票結果[xls]、秋田県平成17年は当該ページ・平成15年11月9日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査・比例代表の投票結果と開票結果[xls]、秋田県平成21年は当該ページ・投票結果はこちらから・比例代表[xls]、秋田県平成24年は当該ページ・投票結果はこちらから・比例代表[xls]を参照。 山形県平成15年は詳細データ不掲載のため当該ページで代用。但し、比例区であるかは不明、山形県平成17年は当該ページ・比例代表選出議員選挙投票結果 (国内+在外、国内、在外)[xls]、山形県平成21年は当該ページ・比例代表選出議員選挙投票結果 (国内+在外、国内、在外)[xls]、山形県平成24年は当該ページ・比例代表選出議員選挙投票結果 (国内+在外、国内、在外)[xls]を参照。 被災地、被災地隣接県については福島県、茨城県を除いて、他の地方県と比較すると、基準から-3~-5%程度、より下落する傾向が明らかですので、単純にその分が下ブレしたということになると思います。 |