• 広中俊雄『物権法』青林書院(1987年9月・2版増補)……体系書。絶版・入手困難。あえて基本書に選ぶ必要はないと思うが、読み物としてはなかなか面白いので、物権法に興味・関心があるならば図書館で借りるなどして読んでみると良いだろう。
  • 平野裕之『物権法』弘文堂(2012年7月)……論点講義シリーズから新論点講義シリーズに改題。詳細。
  • 石田穣『物権法(民法大系(2))』信山社(2008年7月)……177条について効力要件説を提唱するなど意欲的な体系書。
  • 佐久間毅『民法の基礎2』有斐閣(2010年3月・補訂2版)……高度だが判例通説中心。177条で変動原因制限説からの帰結がよくわからんのが玉に瑕。
  • ☆河上正二『物権法講義』日本評論社(2012年10月)……オーソドックスな体系書。判例通説をしっかり解説したうえで自説を論じている。民法他分野、手続法についても目配りが利いている。歴史的沿革の説明、法諺の引用なども特徴である。
(以下含担保物権)
  • 山野目章夫『物権法』日本評論社(2012年3月・5版)……簡潔だが内容もやや薄。 【現】【法】『初歩からはじめる物権法』日本評論社(2007年3月・5版)は、物権・担保物権を含めた入門書。
  • 野村豊弘『民法II』有斐閣(2004年8月)……総則と同じく、シンプル。
  • 田山輝明『通説物権・担保物権法』三省堂(2005年4月・3版)……通説とあるように、標準的な見解を述べている。
  • 田井義信他『新物権・担保物権法(NJ叢書)』法律文化社(2005年12月・2版)……割と色々な判例に触れ、記述も正確。
  • 松尾弘・古積健三郎『物権・担保物権法』弘文堂NOMIKA(2008年9月・2版)……図表が駆使され、わかりやすい。
  • 安永正昭『講義 物権・担保物権法』有斐閣(2009年3月)……構成・内容はオーソドックス。法学教室の連載が元だが、本書では本文の中に判例が独立して組み込まれている。百選番号は第6版に対応。

 

〔担保物権〕

  • 高木多喜男『担保物権法』有斐閣(2005年7月・4版)……担保物権法分野における代表的な体系書として定評があり、あらゆる文献で引 用される。解説は繰り返しを厭わない丁寧なもので、分量も多すぎず少なすぎず丁度良い。独自説をぐいぐい押しだすようなところもない。基本書選びに迷った ら本書を選べば間違いはない。安心の一冊。
  • 道垣内弘人『現代民法III 担保物権法』有斐閣(2008年1月・3版)……高度で独自説満載だが、近年、高木・担保物権法を後継する代表的な体系書としての地位を得つつある。
  • 高橋眞『担保物権法』成文堂(2010年6月・2版)……著者は京大卒の前田達明門下。そのため、本書を京大系の担保物権の基本書と位置付ける人 もいる。体系的理論的な整理が行き届いており、執行手続への言及も必要にして十分。自説の押しは弱く、結論も総じて穏当な内容。文章も比較的分かりやす い。しかし、ケースを囲んで目立たせると言うようなこともなく(全箇所ではないが、本文中では折に触れてケースによる説明がなされる)、いわゆるレジュメ 調の本なので好みが分かれるかもしれない。初版は縦書きだったが、第2版より横書きとなり、より使いやすくなった。最判H21.7.3まで収録。
  • 松井宏興『担保物権法』成文堂(2011年10月・補訂2版)……薄いが抵当権と非典型担保に関する記述は充実。最近の教科書には珍しく、抵当権 の機能に対する社会科学的分析などがされていない。判例通説に沿う形で設例を交えつつ制度を淡々と紹介してあり、自説はやや控えめとなっている。最新判例 に加え、高木説、道垣内説、内田説などの紹介・整理もしてあるため、応用問題を理解するための橋渡しとして有用である。
  • 平野裕之『民法総合3 担保物権法』信山社(2009年9月・2版)……教科書と判例集の融合というコンセプトだが、他のシリーズに比べ厚くないため読みやすい。
  • 小林秀之・山本浩美『担保物権法・民事執行法(新・論点講義シリーズ5)』弘文堂(2008年06月)
  • 石田穣『担保物権法(民法大系(3))』信山社(2010年10月)……既刊の物権法に引き続き、ほぼ全分野にわたって独自説を展開。学界に与える影響がいかほどのものかはさておき、司法試験対策に用いるにはオーバースペックであるということは間違いないだろう。
最終更新:2013年02月24日 17:44