キャラクター作成の手引き(FBI)


工事中
個人的に作成したハンドアウトを仮にコピペしただけの状態

はじめに

軍事科学や陰謀といったテクノスリラーの要素を取り入れた「Delta Green」にて最も頻繁に登場し、
なおかつ探索者の作成に最も適したひとつが、警察より強力な法執行権限を持った「FBI捜査官」という職業です。
彼らは州を跨いだ大規模な事件にも職務として関与できる存在であり、実際通常のシナリオでもKPとPLの両者にとって使い勝手の良い役者と言えます。
ですが日本に住むわれわれからすれば、警察官のようにイメージしやすい存在ではなく、また日本語による資料も乏しいのが現状です。
そこで本稿においては、個人的な研究をもとに、少なくともTRPGというフィクションの世界で「FBI捜査官」として活動できる"それらしい"探索者を作成するハウツーを提供します。
これを読み終わる頃には、あなたも海外ドラマに登場するような主人公たちを生み出せるようになっていることでしょう。

ステップ1: 以前の職業を決める / ベース職業の選び方

実はFBI捜査官になるには、過去に3年以上別の仕事を経験していなくてはなりません。FBIは様々な事件を担当するため、幅広い分野の人材を求めているのです。ですから元軍人、刑事、プロファイラー、アナリストなど色々な経歴がありえますし、あるいは「大学ではXXXを専門に研究し優秀な成績を残した」等としてベース職業に反映しても変ではありません。一体何の専門家なのか?探偵、刑事、警察官、兵士はベース職業としてシンプルな選択肢ですが、バックグラウンドを意識すると、より多様な探索者を作ることができます。

人形芝居

以下の条件に従い、FBI特別捜査官として探索者を作成してください。
少なくとも探索者はアカデミーで6ヶ月以上掛けて課程を全て修了し、おおよそ1~2年ほどの研修期間を経て「特別捜査官」として採用されている人物となります。

Δアメリカ在住(勤務地はアリゾナ州フェニックスの支局)
Δアメリカ国籍
Δ母国語が英語
Δ24歳以上(FBIへの応募資格は23歳~36歳、基本的に若いほどルーキー)
Δ大卒or警察学校卒以上(≒学士号を所持、少なくとも設定上)

ベース職業の選び方

特別捜査官の採用時には、基本3年以上のフルタイムの就業経験による何らかの専門的な知識/技術や経験が求められます。
これは多様な事例に対応するためのもので、実際一括りにFBI捜査官と言ってもその専門分野や経歴は様々のようです。
例えば、会計などの職務経験がある人物は、その経験や技能も見込まれて金融事件を担当する課に配属されるということもあります。
社会で職業経験を積んだ一般的な探索者がステップアップしたようなものだと考えてもそう間違いではありません。
捜査技能+専門分野という観点から見ると、FBI捜査官は刑事と他の職業のハイブリッドだとも言えます。

FBIの公式ページによると、2016年の人材に求められている経歴や専門知識は次のようなものです。
難しく考えずに、探偵、刑事、警察官、兵士などをベースにして作成してしまうということも可能ですが、
以下の例も参考に、どんな分野の事件を担当している探索者なのかイメージしながら前職=ベース職業を決定するのも良いでしょう。

Δ公認会計士
Δ弁護士(検事、弁護)
ΔITネットワーク管理者
Δエンジニア
Δ探偵
Δ軍隊(具体的には、特殊部隊、爆発物、大量破壊兵器、諜報などの専門家)
Δ科学者(ラボに務めた経験がある)
Δ外国語話者(特にスペイン語、中国語、韓国語、アラビア語、ウルドゥー語、パシュトゥー語、ロシア語、以下略)
Δパイロット(ヘリコプター、固定翼)
Δその他様々(上記されていない全ての経歴と技能)

実際のところ、様々な専門ユニットがバラバラに集まって現地捜査に向かうかというと大分怪しいものです。
が、海外ドラマのFBIも大概なので、探索者はそれぞれ「犯罪捜査課」の所属と脳内補完してフィクションらしく割り切ることにしましょう。

FBI捜査官はアカデミーでどのような訓練を受けるのか

特別捜査官たちに求められるのは何も専門的な知識だけに限りません。
アメリカ全土を舞台に連邦法を執行するわけですから、捜査能力とその知識、論理力、射撃能力、体術...等、幅広い技能が十分な水準に達することが必要とされるのです。

1949年の研究文献によれば、アカデミーには様々な経歴/知識/年齢の人間が参加するため、互いの長所を学べるように講義構成が考えられていたともされています。
それはさておいて、アカデミーにて受ける"訓練"はおおよそに以下のように分類できるであろうと考えられます。


1:筋力/体力
 日常的に肉体の鍛錬が行われる他、そもそもの採用試験でも身体技能のテストが行われます。
 銃を撃つにしても、被疑者を拘束するにしても必要な要素であるからでしょう。

 現実には身体的能力に劣っていると特別捜査官としての採用試験を突破することすら難しいものとなります。

2:銃/射撃
 大前提として銃の基本的な仕組みを学び、銃器の分解方法、故障時の修理方法などを実践知識として習得します。
 それから射撃に関して、射撃時の姿勢、構え方、狙いの付け方、あるいは素早い引き抜きかた、と的に当てる能力もまた当然取り扱います。
 これには全く銃を撃ったことのない人間への教育のみならず、銃の武装解除などとっさの行動が適切に行えるよう正しい型を体に覚えさせるという意図もあります。
 土壇場で銃の撃ち方がわからない、犯人捕獲時に相手の銃を暴発させてしまった、なんて情けないですからね。
 基本的に扱われるのは拳銃、ライフル、ショットガンだそうです。

 時期にもよりますが、射撃能力は捜査能力と同様に重視されており、これが水準に満たない捜査官は容赦なく採用が取り消されてしまいます。

3:犯罪捜査知識
 指紋はどうやって回収すれば良いのか、どのような場所から採取できるのか、回収した場合はどうやって研究所に運搬すればよいか。
 泥のような液状のものや、ざらついた樹皮に付着した血痕はどうやって採取すればよいのか、血液は乾燥させてから採取すべきなのか。
 割れたガラスのような証拠品は、回収して現場での状態を崩してしまってよいのか。

 といった実際の犯罪捜査にても是非の問われる事柄を経験して学ぶべく、実地訓練が行われます。
 現在では不明ながら、1949年時点では銀行強盗や車両盗難を想定してセッティングされた模擬捜査訓練が実施されていました。

4:判断力
 現場での機転などをイメージしがちな言葉ですが、実際にはもっと切羽詰まった状況での瞬間的判断力を中心に鍛えられます。
 これは射撃能力とも関わっていて、その場合、緊急時にとっさの判断で銃を引き抜き、素早く正しい対象に向けて発砲できるかが重要とされています。
 正しい対象に向けて、とはつまり銃を持っている相手のみを撃てということです。

 これを言い換えるなら、状況を素早く判断し、それにともなって体を適切に動かす能力ということでしょうか。

5:注意力/観察力/記憶力
 これはその名の通り、犯罪捜査には必須とも言える、物事を日常的に注意して見ることができる能力を鍛えます。
 講義中にちらりと腕時計を見た生徒に対し、授業が幾らか進んだ頃に教授が「講義中にチラと時計を見ていたが、その時は何刻だったか?」と尋ねる。
 他の教室からしばらく物音が響いてくる、と思ったら見知らぬ男が教室に侵入し退出、後に教授が男の服装や特徴について生徒に尋ねる。
 など、ユニークな方法で日常的に集中させる訓練が行われていたという記録もあります(当然後者の男性に関しては教授の仕込みです)。

6:論理力/推理力
 知識として身につけた理論を現実の状況に照らしあわせ、正しく結び付けられるか。
 つまり、犯罪捜査の現場における知識の使い方を学びます。
 捜査官に求められているのは単純な知識の詰め込みではなく、現場における適切な応用力ということです。

7:体術
 射撃能力のみならず、アカデミーでは近接距離で凶悪犯などと対峙した場合にとっさの対応ができるよう近接格闘術も学びます。
 より具体的には護身用の軍隊式格闘術や柔道に合わせて、銃器の武装解除や早撃ちを交えて学び、近接距離における全般的な対処法と判断力を養います。
 相手を拘束する技術や、逆に相手に組み付かれた場合に抜け出す技術というものもこの範疇に含まれます。


これらに加えて各捜査官はより専門的な分野の知識も学ぶわけですが、基本的にはこうした技能が全員に広く求められています。
技能、肉体面の強さ、知識、知識の扱い方、とあらゆる要素で鍛え上げられてようやく捜査官としてのスタートラインに立てるということですね。

参考資料

FBI JOBS(FBIのリクルート関連情報)
https://www.fbijobs.gov/
Special Agents(特別捜査官に関するあれこれについて)
https://www.fbijobs.gov/talent-networks/special-ag...
Current FBI Needs(現在のFBIに求められている人材や才能などについて)
https://www.fbijobs.gov/talent-networks/special-ag...

参考文献

金井 友正(1949年) 『米国連邦捜査局(F.B.I.)の研究』 法務府法制意見第四局
ロードリ・ジェフリーズ=ジョーンズ(2009年) 『FBIの歴史』 越智道雄 訳, 東洋書林
最終更新:2017年03月12日 15:16