Delta Green


「Delta Green」とは?

「Delta Green」とは「Pagan Publishing」が出版するクトゥルフの呼び声のサプリメントシリーズおよび同作品に登場する秘密組織の名称です。
このサプリメントにおける探索者は、神話的な超常存在やカルト教団と戦い陰謀を阻止しようと活動する秘密組織の一員という特殊な設定で、
その職業もFBI捜査官やCIAエージェント、特殊部隊員、軍属の研究員など通常のCoCでは滅多にお目にかからないものが大半となっています。
シリーズにおいて通常のクトゥルフの呼び声と決定的に異なるのは、その探索が『超常存在を見つけること』を最初から目的とする点でしょう。
探索者はそこに常識という枠組みを越えた恐ろしい何かがあると知りながら、その原因を取り除くべく死地へと飛び込まなくてはならないのです。

探索者という存在は、ときに不法侵入などの犯罪を犯すこともありますが、デルタグリーンにおいてはそもそも彼らの存在そのものが違法であり、
『世界を守るためであればどんな手段でも取り得る』というスタンスは、そういった探索の方向性をより特徴づけていると言えるでしょう。

+ もっと詳しく?
※以下はデルタグリーン関連の書籍を出版する「Arc Dream」社のアカウントがコミュニティーサイトへポストした簡易的な説明を個人的に翻訳し引用/加筆したものです。

デルタグリーンとは、人類と米国に対する超自然的な脅威を調査し阻止することに専念する秘密組織です。
デルタグリーンは「エージェント」「協力者」という二種類の人員を抱えています。

協力者(Friendlies)は準メンバーであり、通常はデルタグリーンという組織の実態を知りませんが、
特別な技能を有しており、また超自然的な恐怖との遭遇にうまく対処できると見なされた存在です。
あるいは、彼らはうまく立ち回って問題を解決し、生還した普通の探索者、に近い者たちとも言えるでしょう。
協力者の中には「デルタグリーン」という言葉を聞いたことがない者すらいます。
この「デルタグリーン」という名称を知っている者でさえも、大半は、この組織が政府の合法的な機関ではありながら、
極秘扱いの「闇予算」によって公的な職員やリソースを用いて運営されているのだと思い込まされているのです。

エージェント(Agents)はデルタグリーンの完全なメンバーであり、熟練の探索者でもあります。
彼らの大半は連邦法の執行官、ほとんどはFBIの特別捜査官で、
残りはDHS、NSA、CIA、ATF、DEAなどといった、幅広い領域に渡る米国の法執行機関とテロ対策組織に所属しています。
協力者との決定的な違いは、彼らがこれまでに気を狂わせずに多くの恐怖と接触してきていると言う事実に加え、
デルタグリーンが40年以上にも渡って公式な設立許可や認可、予算を一切得ることなく活動しているという真実を伝えられるほどの信用を得ているという点です。

デルタグリーンは事実上、超自然的な脅威から世界を守るため、彼らが支持すると宣誓した合衆国のあらゆる法を破り、
ときには家族と人生が、彼らの抱えた秘密と蓄積されるトラウマによって崩壊していく様も目にすることもいとわないという、
同じ志を持った男女による非合法な陰謀組織です。

デルタグリーンの一部のメンバーは、戦略的に米国政府内部へと配置されています。
その理由は、デルタグリーンの作戦遂行が容易になるよう政府の資金や物資などのリソースを転用できるように、
また組織の作戦行動を覆い隠すことで、グループの人間を表への暴露から保護し、
エージェントや協力者が死亡した、重症を負った、狂気に陥った際には弁解/説明を提供するため、
危険なほど頻繁に、隊員たちに関してや、その他の記録を改ざんすることができるようにというものです。

一方で、通常デルタグリーンがメンバーに提供できるサポートはそれで精一杯であるのも事実。
エージェントはそれぞれが職務上で積んできた訓練と、現地や街中で手に入る物に頼らなくてはならないのです。

Delta Green

タイトル Delta Green
ページ数 300
出版社 Pagan Publishing
著者 Dennis Detwiller、Adam Scott Glancy、John Tynes
イラスト Toren G. Atkinson、Dennis Detwiller、Heather Hudson、John T. Snyder
ISBN-10 1887797084
ISBN-13 978-1887797085
発売日 1997/2/1
価格 $19.98/$29.99/$39.99(PDF/ソフトカバー/ハードカバー)

千年紀の終りを迎えるアメリカにようこそ。
君は背後で糸を引く存在を知っているかな?
デルタグリーンは知っている。
時と宇宙を超越して現れ影で忍び笑うもの、人類の中核を緩慢に腐敗させるもの、
上空で狂ったかのごとく渦を巻く暗黒星、こういった存在こそが万物の真なる支配者なのだ。 
デルタグリーンは1928年のインスマス襲撃作戦以来奴らと戦い続け、その戦いは未だ激しさを増している。

この本は君の武器に、そして道標となるだろう。
これはかつてないほど大規模なクトゥルフ神話TRPGのサプリメントである。
―Pagan Publishing「Delta Green」

モダン・ホラーというジャンルに暗躍する陰謀という要素を取り込んだサプリメント。
メインとなるのは、アメリカ合衆国にそれぞれの陰謀を張り巡らせた組織に関する膨大な設定資料であり、
キーパーおよびプレイヤーはその成り立ちや歴史も含めて次の5つの組織をキャンペーンに導入することができる。

  • 世界を守るためであればあらゆる法を逸脱せんとする、本作の主人公、自己犠牲の塊である「デルタグリーン」
  • 国家利益のためであれば国民に及ぶ危害でさえも顧みない、腐敗した政権の真の支配者「マジェスティック12」
  • 彼らが神と化したと信じる"ヒトラー"の魂に導かれ世界支配を目論むナチス残党、狂気に満ちた第四帝国「カロテキア」
  • 謎の光、アブダクション、家畜のバラバラ死体、執念の調査で真実の断片に追いすがる、UFO研究グループネットワーク「ソーサーウォッチ」
  • ある時は敵、ある時は味方、正体不明のアラブ人魔術師に率いられ、這い寄る混沌を崇める作中最強の犯罪シンジケート「フェイト」

他にも新しい魔導書や呪文、技能、公的機関の概要とそれに伴う大量の職業サンプル(約80)、現代の詳細な武器データ、
それらに適応できるアタッチメントや特殊弾のデータ、故障ナンバーに関連したオプションなど膨大な情報が用意されている。
また1920年代から現代へと舞台が移り変わったことで神話存在やそのカルトはどのように変化を遂げたのか、というテーマを取り上げる章や、
続く『ユゴスよりの菌類』をテーマに、その精神構造や由来、活動、目的などに肉付けを行っている章は純粋な資料やシナリオフックとして一読の価値がある。


Delta Green 収録シナリオ

人形芝居と影絵芝居(Puppet Shows and Shadow Plays)

タイトル 筆者 時代 舞台 難易度 おすすめ度
人形芝居と影絵芝居(Puppet Shows and Shadow Plays) Adam Scott Glancy 1997 アメリカ、アリゾナ州フェニックス 3 5

あらすじ

Who watches the watchers?
誰が見張りを見張るのか

インディアン居留地の南端部周辺にて、人々が突然その行方をくらますという事件が相次いで発生。
調査に乗り出した警察当局であったが、そこで明らかとなったのは事件解決の手掛かりではなく、報告にない失踪事件の数々であった。
しかしながら自発的な失踪としても、第三者による誘拐としても、そこには共通して動機というものが存在しない。
果たして一連の事件は単なる偶然の出来事が重なっただけのことなのだろうか。
進まない捜査に困窮した現地警察らはFBIを協力者として管轄区に招き、再度の調査に取り掛かり始めるが・・・。

備考

FBI捜査官として謎の失踪事件を調査する。
デルタグリーンへの導入シナリオとして意図されているが、導入とは思えないほど激しい展開が予想される。
キーパーが選択できる展開上のオプションが豊富で、状況によっては探索者全員が高確率で即死するなど残酷な結末に結びつくものもある。
しかしそれを踏まえた上でも、デルタグリーンを象徴する映画のような演出が用意されているため、事を上手く進めれば非常に盛り上がることは間違いない。

+ 有志制作のハンドアウトについて[微ネタバレ注意]
Yog-Sothoth.comでは有志制作の配布資料集が公開されている。
シナリオ中では(原文で)一行程度の情報に新聞の切り抜き風のテキストがしっかり用意されるなど、セッションを盛り上げる良い素材となる。
実際にヒントとして用意された情報と明確に区別する必要はあるだろうが、キーパーとして「Puppet Shows and Shadow Plays」をプレイする予定のある人は是非確認して欲しい。

KPとしてプレイしてみて

2度ほどキーパーを経験。いずれもオプションを全て導入して行っている。
探索者が『FBI捜査官』となるため、DG非所持のユーザーにとってはキャラクター作成が最難関といった調子だったが、
いわゆる犯罪捜査モノである本編については一旦スタートしてしまえばスムーズに世界へと入り込んでくれたように思う。
実際、イベントのタイムラインやトリガーがかなり丁寧に用意されているのでキーパーにもプレイヤーにも親切な構造ではある。
しかしながら、ときに探索者が予想外の方法で意図せずイベントに干渉してくるシーンも見られたので、
キーパーはそれぞれのポイントを抑えておき、全体として物語をどういった方向に着地させるかを進める中で少し考えておく必要があるだろう。

収斂(Convergence)

タイトル 筆者 時代 舞台 難易度 おすすめ度
収斂(Convergence) John Tynes 1997 アメリカ、テネシー州中部 5 5

あらすじ

3つの州を渡りながら強盗を繰り返していた青年をようやく逮捕したFBIであったが、所内の空気は逮捕前以上に張り詰めていた。
一連の事件において "超人的怪力で銃をへし折る" などの異常性を示していた犯人をラボの検査にかけた結果、
その筋組織が 『人間のそれを模倣した別の何か』 に置き換えられていることが明らかとなったのだ。
一体この物質の正体は何なのか、そして誰がこれを、何の目的で青年に移植したのか。
驚異的なバイオテクノロジーの背後を探るべく、デルタグリーンはエージェントを彼が住んでいた街へと派遣するが・・・。

備考

サスペンス・アクション風味の前作から雰囲気は一気にホラーらしく。
本編中のどんでん返しにプレイヤーは酷く衝撃を受けることだろう。

このシナリオはもともと「サイバーパンク2.0.2.0.」のコンセプトやアイデアを取り入れた作品として、
古い「The Unspeakable Oath」に収録されていたもので、両システムを統合するルールを論じる別雑誌収録の、
サイバーパンクなシナリオの前日譚という位置付けで公開されていた(次作は30年後が舞台の「転移/Transference」)。
「Delta Green」に収録された「Convergence」はそこから背景設定や探索箇所などに大きく加筆修正が行われた作品となっている。

次作が"サイバークトゥルー/ダークタイム"シナリオと冠されているように、本作もかなり暗い雰囲気を備えており、
死と隣り合わせの孤独な戦いを繰り広げるデルタグリーンシリーズの暗い要素が色濃く描き出された内容となっている。

+ ハンドアウトについて[微ネタバレ注意/KP向け]
Delta Greenの公式サイトでは、公式配布のプレイヤーハンドアウトとして2つの音声ファイルが提供されている。
これを採用するかどうかはキーパー次第だが、シナリオの雰囲気を作りたいというならば是非使用してみてほしい。

またTUO版では舞台となる街の地図が収録されていたらしいのだが、こちらではオミットされてしまっている。
筆者はセッション中に地図が必要となり、描く機会があったので、後学のために述べておくと、
グーグルマップなどで"ノックスビル"周辺を探せば舞台となる街に関する描写と全く同じ地形の場所を見つけることができる。
もし具体的な地形や街の状態についての参考資料が必要なら、そういったものも一度確かめてみることを推奨する。

KPとしてプレイしてみて

2度ほどキーパーを経験。

ニューエイジ(The New Age)

タイトル 著者 時代 舞台 難易度 おすすめ度
ニューエイジ(The New Age) Adam Scott Glancy & John Tynes 1995 アメリカ合衆国ミズーリ州、セントルイス 5 5
第一部:王子死すとも王子は死せず(The Prince Is Dead, Long live the Prince.)
第二部:新たなる時代の夜明け(Dawn of the New Age)

"以上が探索者の放り込まれる状況です。キーパーで良かったと思いませんか?"

「―新たなる時代(The New Age)は我らのもとにあります。
備えある者だけが生き残り、勝利し、
内なる平和と充足の新たな段階に行き着くことでしょう。」
-Delta Green 「The New Age」

あらすじ

元アメリカ空軍所属の退役軍人、ラリー・ダニエルズ大佐の大邸宅にて原因不明の爆発事件が発生。
爆発はたった1人の生存者を除き、当時開かれていたパーティーの出席者全員を死に至らしめた。
現地警察とFBIは原因究明に乗り出すが、現場に急行した彼らが目にしたのはありとあらゆる物理法則を無視した物証の数々であった。
機関の様々な専門家たちが困惑し頭を悩ませる中、真の原因を探るべく、デルタグリーンのエージェントたちは今宵も"オペラ"へといざなわれる。
しかしこれが全世界を巻き込んだ、恐るべき陰謀の一端へと彼らを導く入り口となろうとは、まだ誰も知る由はなかった・・・。

新たなる時代の夜明け(Dawn of the New Age)を目前に、交錯する陰謀は何を知り、何のために戦うのか?
「人形芝居と影絵芝居」のアダム・スコット・グランシー、「収斂」のジョン・タインズ、2人の共著による、デルタグリーンシリーズ最初期の壮大な長編シナリオ!

備考


KPとしてプレイしてみて

プレイヤー絶賛募集中

Delta Green: Countdown

タイトル Delta Green: Countdown
ページ数 432
出版社 Pagan Publishing
著者 Dennis Detwiller、Adam Scott Glancy、John Tynes
イラスト Toren G. Atkinson、Dennis Detwiller、Heather Hudson、John T. Snyder
その他付録の著者等 Adam Crossingham、John H. Crowe, III、Daniel Harms、Davide Mana、Graeme Price、Divers Hands
ISBN-10 1887797122
ISBN-13 978-1887797122
発売日 1999/8/10
価格 $19.98/$29.99/$39.99(PDF/ソフトカバー/ハードカバー)

「彼らはいわゆる地獄というやつを知らない。
 私は彼らのために備えをしてきた。
 どうか私の魂に神がご慈悲を賜りますように。」

未来のことは考えるな。 灰の味に慣れろ。

黙示録へのカウントダウンは始まっている。
我々の天球が永遠の夜を回っている限り、人類の不変たる遺物とは、我々全員をむさぼる運命のうなりに掻き消された悲鳴に他ならない。
これは君が人間であるという証を、戦うという意志を、秩序を示す最後のチャンスだ。
―Pagan Publishing「Delta Green: Countdown」


モダン・ホラーというジャンルに暗躍する陰謀という要素を取り込んだデルタグリーンシリーズのサプリメント。
アメリカ国内に留まらず、21世紀の夜明けを目前にした世界の各地で暗躍する秘密組織の情報を追加する内容となっている。
イギリス、ロシア、アメリカを中心に、カルト教団から対神話組織、テレビ番組まで次の9つの組織設定が収録されている。

  • 膨大な神話知識を収蔵/研究し、その手綱を握っているかのように見えるが・・・ある恐ろしい秘密を抱えるイギリスの秘密超常諜報機関「PICES/ピスケス」
  • 彼らだけが知る真実、そして戦う理由とは・・・イギリスの最重要指名手配テロリスト集団「アーミー・オブ・サードアイ/第三の目の軍」
  • 亡霊のように消えようとしている政府の公的機関、ソビエト冷戦時代からの対超常部門「GRU SUV-8/GRU 第8特殊部門」
  • 千年王国を信じて恐ろしい儀式に興じ、"マグナ・マター"を崇拝するロシアのカルト教団「スコプツィ」
  • 絶叫、悲鳴、笑い声、如何なる非人道的実験をも認可されたマジェスティック12傘下のエリート研究機関「アウトルック・グループ」
  • 一見して低俗なオカルト専門の深夜番組、しかしインナーサークルでは・・・みんな大好き超常現象"ニュース"番組「フェノメンX」
  • 元CIAのダミー企業、古き神を信奉する貪欲な第二世チョー・チョー人移民による麻薬カルテル「タイガー・トランジット」
  • 人類の歴史に反した分類不可のアーティファクトを収蔵する博物館、人類史の守護者「Dスタック」
  • 地下鉄に潜む保守派と狩りをする異端派、現代社会に食料と情報源を奪われた、「フェイト」に忠実な食屍鬼コミュニティー「キーパーズ・オブ・ザ・フェイス」

他にもそれぞれの組織に関連した新しい魔導書、呪文、ビデオテープ(!)、神話のアーティファクトなど様々な情報源に加え、
諜報活動やテレビ番組の撮影に役立つ新しい技能、日本も含む世界各地の公的機関の概要とそれに伴う大量の職業サンプルが用意されている。

収録された項目の中でもユニークで興味深いのは、John Tynes氏によって書かれた、
超常の力として「ハスター神話」を考察/解釈し、「黄衣の王のタロットカード」というアイテムを取り上げている章、
John H. Crowe, III氏によって書かれた、危険度は上昇するが"実用的ではない"奇妙なESP能力を導入する章、
そこに付随する、15種類の専門的なオカルト学問技能を収録し、占学を分類し解説する章の3つである。

収録シナリオは「A Victim of the Art(著: Dennis Detwiller)」、「Night Floors(著: Dennis Detwiller)」
ショートキャンペーン「Dead Letter(著: Adam Scott Glancy)」


Delta Green: Countdown 収録シナリオ

芸術の犠牲(A Victim of the Art)

タイトル 筆者 時代 舞台 難易度 おすすめ度
芸術の犠牲(A Victim of the Art) Dennis Detwiller 1990s アメリカ、ロングアイランド 3 2

あらすじ

海辺のコミュニティーを震撼させている一連の猟奇殺人事件。
超自然的存在の関与を疑うデルタグリーンは、調査チームを派遣する。
ところが「チーム」を派遣したのは彼らだけではなく・・・。

備考

デルタグリーンのエージェントとしてFBI捜査官に変装し事件を捜査するシナリオ。
内容はかなりシンプルであると同時に、非常に自由なシティ要素が提供される。
基本的に行動方針がプレイヤー側に丸投げのため、ある程度クトゥルフの呼び声に慣れた人向け。

現実の学術的研究に基づいた情報が仕込まれているなど、背景情報は丁寧に用意されている。
ただ技能の指定されるシーンが全くというほど存在しないのでキーパーは少し工夫する必要があるだろう。
プレイヤー募集中。

ナイト・フロア(Night Floors)

タイトル 筆者 時代 舞台 難易度 おすすめ度
ナイト・フロア(Night Floors) Dennis Detwiller 1990s アメリカ、マンハッタン ? ?

あらすじ


備考


KPとしてプレイしてみて


デッドレター/空文(Dead Letter)

あらすじ


備考


KPとしてプレイしてみて


Delta Green: Eyes Only

タイトル Delta Green: Eyes Only
ページ数 264
出版社 Pagan Publishing
著者 Dennis Detwiller、Adam Scott Glancy、Shane Ivey
イラスト Dennis Detwiller、Todd Shearer
ISBN-10 1887797297
ISBN-13 978-1887797290
発売日 2007~2008(版によって異なる)
価格 $14.99(PDF)

"閲覧の許可は受けていますか?"

「奴らは再びやって来る。以前にも現れた。遥か昨日のことだ。」
―Pagan Publishing「Delta Green: Eyes Only」

モダン・ホラーというジャンルに暗躍する陰謀という要素を取り込んだデルタグリーンシリーズのサプリメント。
1998年~2000年に出版された3つのチャップブック「Machinations of the Mi-Go」、「The Fate」、「Project Rainbow」が一冊に収録されている。
それぞれ全く異なるジャンルのテーマを取り扱っているため、以下には章ごとに分けて簡単な概要を記載する。

『Delta Green Eyes Only, Vol. 1: Machinations of the Mi-Go』
この章ではタイトルの通り、異界の生物であるミ=ゴがテーマとして取り上げられている。
人類から見ると奇跡のような科学技術を有する、かなり知性的な存在として描写されることが多い彼らが、
実際にはどのような文化、歴史、言語、知識、技術を有し活動しているのか、と深く切り込んでいるところがこの章のポイントと言えるだろう。
単なるデータ集と見ても、カースト別のミ=ゴの能力値算出方法に加え技能や呪文習得の例、彼らが自身に施す強化オーグメンテーション、
人間に対する施術処置と正気度喪失量の例、重武装の探索者が顔を真っ青にする凶悪な武器テクノロジー、
ミ=ゴ専用の呪文バリエーションなど、かなり豊富な情報が揃っている。

「Delta Green」ユーザーでなくとも、この章は役立つリソースとして用いることができるだろう。

『Delta Green Eyes Only, Vol. 2: The Fate』
この章では「Delta Green」において取り上げられながらも謎が多かった組織「フェイト」に関する情報の補完が行われている。
フェイトが支配する犯罪シンジケート、ネットワークにおける構成員の階級、指示の受け取り方と活動の目的、
あるいは彼らが崇拝するフェイトの大幹部たちはそれぞれ一体何者であるのか、などといった具合である。
その他にも接触の呪文や組織の収蔵する魔導書といった情報、資料の古さなどに応じて<図書館>に与えるペナルティー/ボーナスの指標の提案などが収録されている。

しかしこの章で最も注目すべきは、この「フェイト」という無敵の犯罪シンジケートに所属する新人としてプレイできるルールが導入されている点だろう。
探索者は力、名声、富を求めて、実態も知らない正体不明の組織のため得体の知れない仕事に手を染めるのである。
もっとも、その先に何が待っているのかは言うまでもない。

『Delta Green Eyes Only, Vol. 3: Project Rainbow』
この章では都市伝説の一種である「フィラデルフィア計画/レインボー・プロジェクト」をテーマとして取り上げている。
そもそもデルタグリーンシリーズはX-ファイルのように超常現象や都市伝説といった面でのホラー要素が濃いのだが、
ここではフィラデルフィア計画という題目に対して世界観に沿った理屈付けや解釈が行われるなど、オカルト的設定資料という面が特に強い。
都市伝説で噂されるあの実験の目的は何だったのか、何が起きたのか・・・何が現れたのか。
こればかりは実際に読んでもらうほうが早いだろう。


その他にも付録として「Delta Green」をプレイするにあたっての諜報活動のノウハウ等が収録された章もある。
例えば尋問や拷問のゲーム的処理や、それに伴った正気度の喪失、あるいは殺人に伴った正気度の喪失であるだとか、
データを盗むためのハッキングに関するゲームルールといったものは通常のクトゥルフ神話TRPGでも採用することができるだろう。

収録シナリオはいずれも長編「Artifact Zero(著: Dennis Detwiller)」、「A Night of Owlshead Mountain(著: Dennis Detwiller)」、「Holy War(著: Adam Scott Glancy)」

購入サイト
RPGNow(PDF)
Amazon

Delta Green: Eyes Only 収録シナリオ

アーティファクト・ゼロ(Artifact Zero)


オウルズヘッド山の夜(A Night of Owlshead Mountain)


聖戦(Holy War)


Delta Green: Targets of Opportunity

タイトル Delta Green: Targets of Opportunity
ページ数 328
出版社 Pagan Publishing
著者 Warren Banks、Dennis Detwiller、Adam Scott Glancy、Kenneth Hite、Shane Ivey、Greg Stolze
イラスト Todd Shearer
ISBN-10 1887797319
ISBN-13 978-1887797313
発売日 2010
価格 $19.99(PDF)

「肉でもなく、血でもなく、骨でもなく、奴らはまさしく我々の恐れる暗黒なのだ。」
―Pagan Publishing「Delta Green: Targets of Opportunity」

モダン・ホラーというジャンルに暗躍する陰謀という要素を取り込んだデルタグリーンシリーズのサプリメント。
かつてネイティブ・アメリカンと"悪魔の魚"との間で戦いが起こったアラスカ州南端のブラックコッド島という冒険の舞台に加え、
他のシリーズと同様にカルト教団から対神話組織まで、次の4つの組織設定が追加されている。

  • 1050歳の魔術師に率いられ、"ワーム"を研究し不死性を求める呪われたカルト教団「ディサイプル・オブ・ワーム/蠕虫の門人団」
  • ニューオリンズに潜み不死者を使役する、古き食屍鬼の血を引く一族「デモンテ・クラン/デモンテ一族」
  • ナチスのオカルト兵器計画に対抗するため結成された、カナダの公的秘密機関「M-EPIC」
  • 這い寄る混沌の力を介し"外なる神"にならんとする太古の教団「カルト・オブ・トランセンデンス」

他にもそれぞれの組織に関連した新しい魔導書、呪文、神話のアーティファクト、技能、ブラックコッド島の少々変わった武器に加え、
ニャルラトテップの化身や神話生物のデータがそれぞれ幾つかと、カナダの公的機関の概要とそれに伴う職業サンプルが用意されている。

それぞれの組織に関する設定は非常によく練られており、クトゥルフカルト・ナウのようなシナリオフックとして利用することができるが、
デルタグリーンシリーズの主軸となる闘争からは少々外れていることもあってか、過去作ほど読者に評価を受けていないのもまた事実である。

そんな本書の目玉は巻末に収録された複数のオプションルールだろう。
ここでは連射攻撃、部位狙い、制圧射撃、遮蔽物、重症、専門訓練を受けた探索者による強力なマーシャルアーツといった戦闘オプションから、
不定の狂気としてストレス障害をゲームシステム的に処理するオプション、キャラクターの人間関係を設定するバックグラウンドのオプションまで、
通常のクトゥルフ神話TRPGでも十分採用に価するユニークな選択肢が提供されている。

残念ながらシナリオは収録されていない。


その他のデルタグリーンシナリオ


Contaigion


Call of Duty


PX Porker Night


THE LAST EQUATION


Music from a Darkened Room


Mysteria Matris Oblitae


Future/Perfect

最終更新:2017年03月12日 13:57