【I need You~MIKI version~】/恵千果◆EeRc0idolE




 祈里……アタシ、本当は行かないでってあなたを止めたかったのよ。


 皆が誘われたのならまだしも、祈里ひとりだけ、しかも相手は御子柴財閥のお坊ちゃま。
 心配にならないって言ったら嘘になるわよね。


 でも祈里の前では、アタシはいつだって完璧でいたいから……。


 行かないでなんて、絶対に言えない。言えやしない。


『お土産話、待ってるから!』


 そう言って別れたけれど、後からすっごく落ち込んだわ。
 ダンスタイムになれば、健人くんが誘わない訳ないし。祈里は優しいから、断れないだろうし。
 あんなに可愛い祈里だもの、他にも誰かに誘われるかもしれないし。
 ううん、それだけじゃない。
 もしも……もしもよ。祈里が健人くんを好きになったりしたら……?
 どうしよう……どうしてアタシ、祈里に行かないでって言わなかったの?


 祈里……何処にも行かないで。いつだって、アタシだけを見ていて。
 アタシには他の誰よりもあなたが眩しく見える。


 明日の船上パーティーでもアタシを思い出してほしくて、祈里にメールしちゃった。


『でも、困った事があったらすぐ連絡ちょうだいね』


 そしたらすぐに、あなたから返信が。


『ありがと!絶対連絡するからね』


 アタシはリンクルンをそっと抱きしめた。
 あなたはアタシが見守ってるわ。だから愛しい祈里、ゆっくりおやすみなさい。夢の中で会えますように……
最終更新:2013年02月16日 19:51