「夢で逢えたら」/SABI




 私とラブの部屋はベランダで繋がっていて、部屋の戸を開ければお互いの部屋に行き来できる。
 夜中に自分の部屋のベランダ側のドアを開けておく。それはOKだっていうサイン。
 何がOKか、ですって。ふふふ、そんなの、決まっているじゃない。
 もちろん、私の部屋のドアはいつでも、Open my hea・・・と、じゃなかった、Open my door.


 いつもだったら、ラブがもうとっくに来ている時間・・・・
 痺れを切らして、ラブの部屋に向かう。私の方から行ったら、嫌われるかしら?
 いいえ、ここで決めなきゃ女がすたるわよね。・・・・何を決めるのか分からないけど。
 Go!Go!Let’s Go!!


 ラブの部屋のベランダ側のドアは開いていて、その事に勇気を得て、部屋に入る。
 眠っていたラブが物音で目を覚まして、自分の部屋にいる私を認識したらしく、
 「せつな、どうしたの」って聞いてくれる。ラブはいつでも、どんな時でも優しい。
 「ラブ、私、眠れないの」って言うと、ラブが布団を捲って私を中に誘ってくれる。
 みんなが寝静まった夜、愛する二人が狭いシングルベッドで・・・・


 えっ、良く眠れる方法を教えてあげるって、・・・・・眠れる方法??
 最初、頭の中に柵がある草原を思い浮かべて・・・・・草原に・・・柵・・?
 その柵を羊が乗り越える、その羊の数を数える・・・・羊なの、どして?
 別に、馬でも、牛でも、ライオンでもいいじゃない。
 手本を見せてくれるって?羊が一匹、羊が・二匹、羊が・・三・・匹、ひつ・・じが・・


 それから、幾ら経っても、四匹目の羊が出てこない。
 横目で見ると、ラブはすでに夢の中。羊を数えるという、この世界の方法は効果覿面らしい。
 でも本当は、眠れないからラブの部屋に来たのではなく、眠れないのを口実にラブのそばにいたかっただけなのに。


 私が隣にいるのに、ラブったら何も感じないの?
 暢気に寝ているけど、ほっぺでも抓ったら起きるかも。
 ラブの顔に触れようとした瞬間、「せつなぁ~」とラブが私の名前を呼ぶ。


 起きたのかと思ったけれど、目は閉じたままだから、ただの寝言だったらしい。
 夢の中で、私達が何をしているか分からないけれど、ラブは幸せそうに微笑む。


 私も夢でラブに逢えるかしら。
 瞼を閉じて、羊を数えてみる。


 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹・・・・・




 了




 ~おまけ 別バージョン~


 それから、幾ら経っても、四匹目の羊が出てこない。
 横目で見ると、ラブはすでに夢の中。羊を数えるという、この世界の方法は効果覿面らしい。
 でも本当は、眠れないからラブの部屋に来たのではなく、眠れないのを口実にラブのそばにいたかっただけ。


 隣に美少女がいるのに、ラブったら何も感じないのかしら。
 暢気に寝ている寝顔が妬ましい。ほっぺでも抓ったら起きるかも。


 ラブの顔に触れようとした瞬間、「せつな、もう、駄目だよ」??


 ・・・・一体、夢の中でラブと私は、何しているのかしら?


 まあ、いいわ。今夜は夢の中でラブを懲らしめているみたいだから。
 じゃあ、おやすみなさい。
最終更新:2013年02月16日 16:59