【秘めはじめ】/恵千果◆EeRc0idolE




 カーテンの隙間からこぼれ落ちる柔らかな朝の光が、この世でいちばん大切なひとを優しく照らす。
 まだ薄暗い部屋のベッドに横たわり、すやすやと眠るそのひとの名は、東せつな。
 そんなせつなを、同じベッドの中でやや上気した面持ちで見下ろしているのは、この桃園家で彼女と同居している少女・桃園ラブだ。




 昨夜は慌ただしい大晦日だった。日中はこまねずみのようにくるくるとよく働いた。残っていた大掃除を片付け、お節を仕込んだ。夜は年越しそばを食べ、短時間で入浴すると着物に着替えて神社に向かった。
 零時ちょうどに神社に集合したのは、美希・祈里・ラブの幼なじみ3人にせつなを加えたいつもの仲良しメンバー。
 楽しい初詣を終えたラブたちが美希たちと別れ、自宅に戻ったのは、すでに3時を回っていた頃だった。
 急いで着物を脱ぐと、簡単にたたみ和室の隅に置いておく。母親はすでに眠りについているが、翌朝片付けてくれる手筈になっていた。
 パジャマに着替えると、ラブはせつなを自分のベッドに誘った。
 ここ何日間かは多忙でせつなを抱きしめることすら久しぶりだったために、もっとも愛しい存在を腕にしたラブの身体は、当然激しい渇望を覚えて疼いた。しかし昼間の疲労も入眠の手助けとなり、せつなを抱きしめながらも何とか眠りに落ちていくことが出来た。




 今朝、両親は8時に家を出る。かねてから、元旦は初詣と親戚まわりで朝早くから夜遅くまで不在になる予定となっていた。
 夜中に初詣を済ませた娘たちを起こさずに出掛けるからと前夜に言われていたラブは、息を潜めて階下の物音を聞く。
 ガチャリと玄関が閉められ鍵をかけられる音を聞きながら、出掛けていく両親に心の中で手を合わせ、今年もいっぱい親孝行するからね、と感謝をした。




 せつなはまだ目を覚まさない。両親が出掛けた後も目覚めることなく、深い眠りの中にいた。昨日、人一倍頑張り精一杯働いていた彼女。疲労も相当だろう。
 疲れているのはラブも同じだが、せつなとは違い、ラブには今朝とても大事な目的があったのだ。せつなよりも早く目を覚まさなければならない、大切な目的が。
 カーテンの隙間から洩れる光が、少しずつ明るさを増す。初日の出を一緒に見ることは叶わなかったが、これから先、いくらでもチャンスがあるだろう。
 それに――と、朝の陽光を浴びて眠るせつなを見つめてラブは思う。せつなの無防備な寝姿は初日の出の何倍もの価値がある。ラブは心の底からそう思った。だって、こんなせつなの姿は、自分以外の誰にも見られないし、見せたくない。稀有な宝石にも等しいものだったから。




 今朝せつなが身につけているのは、白い小さめのドット柄が入った真っ赤なフリースのパジャマだ。襟や裾は白いパイピングで縁取られ、大きな黒のボタンで前閉じになる愛らしいデザイン。
 どことなくキュアパッションを思わせる可愛らしい見た目に加えて、暖かさに於いても他のパジャマを遥かに凌ぐため、この冬のせつなのお気に入りとなっている。
 そのパジャマの黒ボタンに、ラブがおもむろに手をかけた。目覚めてすぐにラブが暖房を効かせた室内はすっかり温もり、布団をよけてもまったく寒さは感じない。
 上からひとつずつ、そっとボタンを外していきながら、少しずつ呼吸が速くなるのが自分でもわかる。下まですべてのボタンを外し終える頃には鼓動が早鐘を打ち、頬は薄紅く染まり、荒い吐息をついている有様だった。
 久しぶりに見る恋人の恥ずかしい姿に大いなる期待を抱きつつ、ラブは自由になった布地を左右にゆっくりとはだけていく。途端、眩しい白の双丘がぷるんと揺れながらまろび出る。
 眠る時、せつなはブラジャーを着けない。昨夜も彼女を抱きしめながらその隠しようのない膨らみを布越しに感じ、むしゃぶり付きたくなる衝動を幾度も抑えつけたことを思い出した。
 まだ、その時じゃない。今はせつなをゆっくり寝かせてあげる時だから。朝になるまで耐えるんだ。自らに巣喰う獣にそう言い聞かせ、必死に朝まで先延ばしにした。
 そして、今。ラブの中にいる獣に、獲物を捕獲するその瞬間が今ようやく訪れようとしているのだ。
 こぼれるように姿をあらわしたその豊かな膨らみの先端を、ツンと上向いたピンク色の突起が艶やかに飾っている。
 仰向けになっているのに形良く保たれたせつなのバストは、ラブの視線を釘付けにしていた。
 横流れすることなく形良く尖り、適度な高さにそびえ立っている。その景色の素晴らしさに見惚れながら、ラブは自らの喉に貯まる唾を思わずゴクリと飲み込んだ。
 室内が温められているとはいえフリースの布地によって適度な体温を保っていた乳房は、微妙な温度差を感受するとその先端をゆっくりと勃ち上げはじめていた。
 目の前で誘うようにぷっくりと尖る先端を見せつけられた格好のラブに、もはや我慢など出来るはずもない。夜中から散々我慢していて、限界はとうに超えているのだ。
 まるで初めて触れるかのように、おずおずと両の手掌をその豊かなまろみに伸ばす。最初は遠慮がちに触れていたが、徐々に大胆にこね回してゆく。
 お餅をこねるように手の平全体で優しく揉みしだきながら、時に親指と人差し指で尖る先端を掠め、クリクリと摘み上げる。
 幾度も摘まれ、先程までとは比べようもないほどに硬くしこったそれを見つめ、意を決するように欲望のままにくちびるでかぷっと喰んだ。熱い唾液をたっぷり塗しながら啣え、甘噛みしつつ口腔内でころころと舌で転がしてじっくりと味わう。
 幸か不幸か、ひとつしかないラブの口に対し、せつなの乳房はふたつあり、口で可愛がってやれないもう片方の乳房はラブの手で愛撫を続ける。だが、もちろん片方だけしゃぶるのでは飽き足らず、結局ラブのくちびるは左右どちらの突起も啣えることとなり、満足するまで延々と舐めまわし、しゃぶり尽くした。




 一方、微動だにしなかったせつなの身体には徐々に異変があらわれていた。ラブに愛され始めたことで、わずかずつではあったが覚醒の兆しが訪れていたのだ。
「あぁっ……ん……ふぅっ……」
 深い眠りに居ながらにして強い快楽を与えられ続けたせつなは、いまや無意識下で甘い嬌声を漏らし始めるまでになっていた。
 彼女のそんな変化に、ラブは気を良くする。せつな、待っててね。起きた時には今よりもっと気持ち良くしてあげるから。そう心に誓ってにっこりと微笑んだ。




 さっきよりも一層淫らな動きで一心不乱に舐め続けるラブの舌は、不思議だがかすかに甘い乳のような味わいを覚えていた。
「おいひい……せつなのおっぱい……」
 乳首を啣えながらしゃべるラブの吐息が、快楽に濡れて敏感な乳首を直撃し、せつなの愉悦をぐいぐいと押し上げる。
 乳房への絶え間無い愛撫によってもたらされた快感は、乳首を渦の真中として徐々に拡がり伝染していく。それはせつなの脚の付け根にある中心にもびんびんと届き、そこは痛いほど収縮し、腰はなまめかしい動きでラブの愛撫に合わせ揺らめき出していた。
 その腰の揺らめきに気づくと、ラブはせつなのパジャマのズボンに指先をかけ一気に下着ごとずり下げた。
 その瞬間、せつなの股間と下着との間にひと筋の銀の橋が架かる。それは陽の光を浴びながらきらきらと輝きを放ち、つーっとシーツに落ちて消えた。




 妖しく光り濡れそぼったその割れ目すら、ラブには神々しく見えていた。そのくせ、自分のものだと言わんばかりに無遠慮に人差し指を差し入れて、くいくいっと前後に突きはじめる。
 その綺麗な花びらはもうすっかり濡れていて、いともたやすく開いて侵入者を迎え入れる。ぬめった粘液を絡めつかせ、やわやわと動めきながら奥にある花芯へといざなってゆく。
 花園の奥には花芯が秘そやかに震え、そばには熱い潤いをたたえている蜜壷がこじ開けられるのを今か今かと待っていた。
 ラブは恋人の大腿を両側に優しく開いて、濡れて光る秘所をあらわにして自身の眼前にすっかり暴いてしまうと、右手の親指で花芯を揺らして愛でながら人差し指で蜜壷に分け入り、さも愛しそうに少し乱暴に踏み荒らした。彼女の膣内はとても熱くて、ラブの指をたやすく飲み込み、絡みつきながらきゅうきゅうと締めつける。
 指を引き出そうとすると、離すまいとするように内壁がぬちゅっと淫らな音を立てしがみついてくる。
 その動きを幾度も繰り返して内部を拡げながら慣らしていき、ついには中指を加えて2本に増やし、だんだんその速度を上げていく。
 少しだけ曲げられたラブの指先は、上手い具合にせつなのいい所を擦り上げてゆく。そうして2本の指がぐちゅぐちゅと淫らに出入りし、その都度ラブの親指がいたぶるように花芯を掠め通る。蜜壷に指を抽挿し続けながらも、意地悪なラブの親指は可愛らしい花芽にも甘い刺激を加えることを決して忘れないのだった。
 ぷっくりと赤く大きく腫れ上がり真珠のように硬く勃ち上がったせつなの花芯は、ほんのわずかな愉悦にも敏感になっていて、矢継ぎ早に加えられる甘やかな攻撃に今にも果ててしまいそうだった。
 どんどん激しくなる指の動きによって蜜が白く泡立ち、今にも湯気が立ちそうにも見える。せつなの秘所からはうっとりするほどの雌の匂いが立ちのぼり、ラブの鼻腔をくすぐる。ぬちゅぬちゅと粘度の強い水音が引っ切りなしに鳴り続け、ふたりきりの室内に響きわたる。




 穏やかな眠りの海の中で揺ら揺らとたゆたっていたせつなを、突然、嵐のようなうねりが襲った。その意識は激しい波に流されながら、性急な何かによってぐんぐんと海上へと押し上げられていくようだった。
「んんっ……はっ、はあっ……、い、や、いやあ! ああっ! あああああああああ!!!」




 せつなの意識は、夢から現実へと無理矢理に覚醒させられたと同時に性感の頂点に達し、激しいスパークに包まれたまま、白い闇に飛ばされ、放り出された。




 半時ほど後にようやく意識を取り戻したせつなを待っていたのは、とどまることなく溢れ出して陰部の後ろにまでぬらりと流れこぼれ落ちようとするせつなの蜜を、恥部にかぶりつきながら掬い上げるように舐め取るラブの、それはそれは淫らに微笑う濡れた笑顔だった。
「やッ!! ラブ!? どしてっ、あんっ! ひあぁっ」
 絶頂の中で意識を手放したはずが、再び強い快楽の中で意識を取り戻し、その間にもせつなの身体は絶え間無い小刻みな絶頂を繰り返していた。
「おはよう、せつな。やっと目が覚めたんだね」
「おはよう、って、ひあぁっ! ラブ、んんっ、これ、は一体何なの? あぁん!」
「これはね、秘めはじめだよ」
 秘めはじめ。せつなも知識として知ってはいた。愛し合うふたりが、その年に初めて行う愛の行為。だが、そんなことが自分の身に、しかも新年早々眠ったままで行われ、絶頂に身悶えながら目覚めさせられるとは夢にも思わなかった。
 耐えられない恥ずかしさとともに、ラブの舌に嬉々としてしゃぶりつかれた花芯から拡がりゆく例えようのない愉悦に包まれ、せつなはまたしても深く達してしまう。




 終わりなく続くラブの舌技に翻弄され、せつなは再び意識を手放した。
 真っ赤な顔をして気を失ったせつなの秘所からようやくくちびるを離すと、ラブは口腔内に残ったせつなの蜜を余すことなく飲み下した後で、せつなのくちびるに近づいて愛しげにくちづけた。
 先程までせつなの花芯を愛でていた舌を、今度はせつなのそれに絡みつかせ、ねぶる。ねぶりながら切れ切れに紡がれた言の葉。
「せつなぁ……愛してるよ……永遠に離さないから……」
 気を失ったままのせつなに届くはずはないのだが、その言葉が放たれた直後にあでやかに微笑んだせつなを、ラブは確かにその瞳に刻みつけたのだった。




最終更新:2013年02月16日 14:30