【誓い】/恵千果◆EeRc0idolE




秋晴れの中、爽やかな風が頬を撫でる。
私たちふたりは、いつものようにおしゃべりしながら下校途中。


「せつな、もうすぐハロウィンだよ。楽しみだね!」「そうね。みんなで夜を過ごすのって、ダンス合宿以来かしら」


ラブったら瞳がキラキラしてる。よっぽど楽しみなのね。
今年の10月31日は土曜日。美希とブッキーが泊まりに来る約束をしているのだ。
ハロウィンパーティーを兼ねて、皆でパジャマパーティーというわけ。


「早くハロウィンにならないかなあ~」
「ふふっ。ラブったらホント可愛いわね」
「何よ~子供扱いして。そう言うせつなだって、早くハロウィンになってほしいでしょ?」
「そうね、でも私は…まだまだ来ないでほしいかな」
「えぇ~、どうして?」


ラブとの毎日は、本当に楽しい。
いつも楽し過ぎて、気づいたら、あっという間に時間が経ってしまっているくらいに。
だから…


「私ね、もっともっと、ゆっくり大人になりたいんだ。
あなたたちと知り合えてまだ日が浅いでしょ。
幼なじみの3人に比べたら、一緒の時間がまだまだ足りない気がするの…。
だから、もっとラブや美希やブッキーとの時間を楽しみたい。
このまま時が止まってもいいくらいよ。
それに…遠足だって、行く前が一番楽しいって言うじゃない?」


「せつな…」
ラブは考え込むような顔をして、しばらく黙り込んだ。
私、ヘンな事言っちゃったかしら…


「よし!決めた」
急にこちらを向き、ニッコリと笑うラブ。
「せつな!ゆっくり大人になろうね、一緒に」


ラブと一緒に大人になる。
それは、とても甘美な響きだった。
いつも一緒にいるけれど、これからも一緒にいてくれる。
心が、きゅん、と音をたてた気がした。


「うん!ずっと一緒ね」
「や、く、そ、く!」
そう言って、ラブが小指を出した。
前にラブに教えてもらった、誓いの儀式。
私もそっと小指を差し出す。


ふたりの指がゆっくりと絡まり、ふたりの声が重なる。
「指切りげーんまーん、嘘ついたら針千本のーます!指切った!」


指切りのあと、どちらからともなく笑いだし、ひとしきり笑いあう。
そして、ラブが近づき、私の額に自分のそれをそっとくっつけた。


「これからもずっと一緒だよ…」
最終更新:2013年02月16日 11:46