「夜は短く、二人は永久(とわ)に」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY R18




頭の中でも血の駆け巡る音が鳴り止まない。
虚ろな視線の先にはまだ肉食獣の獰猛な光を宿したままのラブの瞳。
その瞳に少し笑みを含んだ色を乗せ、せつなに自分の指をかざして見せる。
滴りそうなほど、根元までも濡らしているのはせつなの快楽の証。
じっ…と見つめながらこれ見よがしに口に含み、ピチャリと音を立てて
味わう。


ベッドの下では美希と祈里が静かに寝息を立てている。
それを分かっていながら……。


こんな状況でもラブの愛撫を歓喜を持って受け入れてしまう体。
突き飛ばして逃げる事も出来たはずなのに。
せつなを堕とす為に触れてくる指には昼間のじゃれ合いにはない
粘り付く鎖が仕込まれている。
容赦無く絡み、縛り、縫い付ける。身も心も、既にラブの物だから。
与えられる悦びを拒絶する意思なんて、とうの昔に忘れてしまった。



指に、舌に翻弄され、快感に打ち震えながらも必死に声を殺すせつな。
そんな自分の姿を眺めるのが、ラブに肉体的な快感以上の快感を与えている。
その事をせつなもいつしか理解していた。
乱れれば乱れるほど。そして、それに耐えれば耐えるほど、ラブはより一層
愛してくれる。
堪えるせつなを打ち崩す為に、ありとあらゆる快感の雨を降り注いでくれる。


陥落のすすり泣きを漏らすせつなを満足気に眺めるラブ。
快感に肉体を、そしてそんなラブの様子に心を充足させるせつな。
結局、お互いにやりたいようにやっている結果なのだ。


だから、ラブはせつなが泣いても行為を止める事はない。
せつなもラブが簡単に押さえ込める程度の抵抗しかしない。
美希と祈里は自分達の関係を知っている。
だから、バレたところでどうと言うことはない。
そんな開き直りもスパイスの一つに出来るだろう。
美希と祈里にとっても……。



「……せつな、行くよ。」
軽くパジャマの乱れを整えてやりながら、ラブが囁く。
どこへ?とは聞かない。
二人とも、あれくらいで満足出来ないのは分かりきってるから。



冷えた部屋に滑り込み、ドアを閉める。
せつなはラブにぶつかるように体を預け、唇を求める。
熱く絡まり合う舌を楽しみながら、ラブはするするとせつなのパジャマを
剥ぎ取っていった。



「…んん…ぅ、ラブぅ。酷いわ……あんな……」
「でも、気持ち良かったんでしょ…?」



声を上げる事も許されず、弄ばれた。
抑えきれずに漏らした小さな息。美希達に聞こえなかっただろうか……。
閉じた腿の間で無理やり迎えた絶頂は、中途半端に体に燻り、
未だずくずくと体の奥で媚薬のようにせつなを炙っている。



「すぐに……イキたい?」



耳たぶを甘噛みしながら囁くラブに、せつなは頷くしかない。
どうしようもなく、疼いている。ラブにしか、鎮められない。
やわやわと乳房に指をめり込ませ、ぷくりと充血した桃色の蕾を指に挟み込んで
擦り上げる手のひら。
勃ち上がった乳頭を意地悪く爪弾かれ、せつなの膝からガクガクと力が抜ける。
秘部の奥が膨れ、内側から下腹部を圧迫する。
足の間が度数の高いアルコールを流し込まれた喉のように焼け付く。



「ここに座って……。」



ラブは何故かベッドではなく、勉強机の椅子を引き、せつなを座らせる。



「ーーあっ!こんなの嫌…!」



椅子の肘掛けに両膝を掛けられ、秘部を余す所無くさらけ出される。
信じられないくらい恥ずかしい姿勢を取らされ、せつなの
体温は部屋の空気が暖まるほど上昇する。
恥ずかしい……、でも、せつなは恥辱に震えながらも抵抗しない。
だって、もう知ってしまったから。
これから、どれほどの愉悦をラブが与えてくれるか…。
せつなが恥じらえば恥じらうほど、ラブの愛撫は濃密さを増す。
焦らし、昂らせ、爪の先まで痺れるほどの快感を溢れさせる。
また、恐らくすぐには逝かせて貰えない。
せつなが、あられもなくラブを求めるまで。



「ラブ……、お願い…。本当に、もう……」
「んー?分かってるって。今日はそんなに意地悪しないから……。」



そう言いながらラブは顔をテラテラと濡れ光る箇所に寄せる。
息が掛かりそうなくらい、せつなが少し腰を浮かせれば「口付け」を交わせる距離に。



「……真っ赤だよ…、とろとろになってる…。」
くいっ、と二本の指で秘唇を押し広げる。湧き出る熱い体液。
それを救い取り、粘液の膜をまとった指先でピンと尖り立った肉芽の先を
擽るようにいじくりまわす。
ひくひくと埋める物を欲して蠕動する秘唇に舌をあてがい、望み通りに
その中を満たしてやる。



「…あ、あ、あ、あ、ーっあんっ、ンうぅ…、は…ぅくっ、ゃぁ…んっ…」
ラブは舌で内側を、指先で陰核をぬるぬると小刻みに味わう。
剥き出しの神経を舐め回される感覚に、せつなの腰の奥から深い震えが這い出して来る。
椅子から宙に浮いた足はどこにも支えがなく、全身に走る快楽の波を
受け止める力は虚しく拡散し、ただ翻弄されていくしかなかった。
陰核から突き上げるような鋭い性感は一点に集中し過ぎて逝く事も
逃れる事も許してくれない。
膣内からじんわりと滲み出る柔らかな快感はじれったくぬるま湯のように下半身を浸す。
頂点はすぐそこなのに、生殺しのまま皮膚の下を肉欲の魔物に食い荒らされる。
せつなはただ身悶えるしか出来なかった。



「ココ、好き…?」


「あんっ…、ダメぇ…続けてぇ……」



中から舌を引き抜き、顔を寄せてくるラブにせつなは潤みきった声音で
ラブの耳を犯してゆく。
情欲に蕩け果てた唇が溢すのは、脳髄を浸食する麻薬だった。



嵌まっちゃったなぁ………
頭の隅っこで僅かに残っている理性が自嘲気味に苦笑いを漏らす。
けど、あられもなく愛撫をねだる恋人の姿は、そのほんの微かな理性を
かなぐり捨てるには充分な痴態だった。



「せつなぁ、イイって言って…。気持ちいいって。こうされるの、好き……?」
「…んあっ。……好き、……イイの…、きもち…い、あっ…らぶっ、はぅ…ンっ…もっ…とぉ…」



陰核を捉えた指を微かに振動させてやると、せつなは熱に浮かされたように
問われるままに求めてくる。
素直に快楽に身を任せるせつなは壊してやりたいくらい愛らしくて。
軽く微笑み、ご褒美の口付けを交わした後、再びせつなの花芯に顔を埋める。
頭の上から途切れた快感の繋がる安堵の混じった艶声が降り注ぐ。


自分でも危いと分かるほど、のめり込んでいる自覚があった。
覚えてしまった肉体の悦びだけではない。
せつなと言う存在そのものに。どうしようもなく溺れていた。



ラブは自分の秘所に手を伸ばす。
せつなを責めながら、自らも彼女の声に、吐息に酔わされていた。
熱を帯びた匂い立つ肌と甘やかな粘膜の味、それらすべてが
見えない手でラブの全身を撫で回す。
蕩けた体内に指を与えてやると、待ち兼ねたように奥に吸い込もうとはしたなく蠢く。
そこはせつなと同じくらい熱く、いつもの自慰とは比べ物にならない快感に
気が遠くなりそうだった。このままではせつなより先に達してしまう。



「んんっ…あんっ…、ら…ぶぅ…あっあっあっ……っ!」
軽く曲げた指の腹でざらついた上壁を舐めてやる。
薄い包皮から膨れた蕾を吸い出し、唇で挟み込んで舌先で捏ねるようになぶる。
せつなの声が一際昂り、涙を孕んで甘く掠れてくる。



「ダメぇ…っ、はっ…あぁぁんっ…あっ、いやぁ、んーー…ッ…あっ、あー…っ!」
ギシギシと壊れそうなほど椅子が軋み、せつなのほんのりと上気した白い腰が跳ねる。
強い痙攣と共にラブの指は肉のうねりに巻き込まれ、せつなの一部になってしまいそうだった。
ラブはせつなの陰核を吸う同じリズムで、自分の蕾を親指で苛める。
せつなが高みに登り詰めるのに一瞬遅れてやってきた、激しい快楽の雪崩。
思わず顔を埋めた柔らかな肉に歯を立てそうになり、慌てて唇を離す。
息を乱しながらも身を起こすと、せつなが崩れるようにしなだれかかってきた。


「………椅子、壊れちゃったらどうするのよ……」
「…て、言うか。気にするとこ、そこ?」



ラブ自身、まだ絶頂の余韻に身体に力が入らない。
何とかせつなを抱き止め、そのままベッドに転がる。


「気持ち良さそうだったねぇ。せつな?」
「……バカ…、知らない…。」



濡れた睫毛を震わせながら強がるせつなの髪に指を絡めながら優しく梳く。
ゴソゴソと体の位置を調節しながらせつなが密着してくる。
ラブの腿に膝を入れ、足を絡める。
するとラブがビクッと震えた。
くちゅっ……と音を立て、ぬるりとせつなの腿に滑る。
素肌が感じたのは、花開くように充血した恥肉の感触と溢れ零れる蜜の滴り。
そのままゆっくりと湿り気を確かめるように膝を上下させると
ラブは甘えた声で身を捩る。



「あんっ…ダメだよぅ。せつなってば……」
「……ラブ、……自分でしてたの……?」



私にしながら?



「あは…、えと、そのぅ。つい、ね。我慢できなくってさ…。」
せつながあんまり可愛いから。
テヘへ、と照れ笑いしながら言い訳めいた呟き。しかも理由になってない気がするのだが。



「私がしてあげたかったのに………。」
「…っ!うぉ…?」



軽く唇を尖らせたせつなは、拗ねたように上目遣いに見上げる。



「どして…?私じゃ、イヤ?」



潤んだ瞳。仄かな恨みがましさを刷いた表情は、見つめられると
背筋にぞくぞくと糖分を含んだ痺れが走る。



「そんなわけない。あたしの事、もっと気持ち良くしてくれるの?」
答える代わりにせつなはのし掛かり、自分の愛液に濡れたラブの唇にかぶりつく。
まだ興奮に強張った胸の突起を押し付け、擦る。
どれほど深い絶頂を味わった後でも、若い体と心はすぐに次の熱を欲していた。
求め合い、与え合う相手は既に腕の中に収まっているのだ。
情熱に身を委ねる事に何の躊躇いがあるだろう。



「じゃあ…、今度は一緒に。……ね?」
体を入れ換え、せつなの片足を抱える。
腿の間に滑り込んでく来るラブの意図を察し、せつなは大きく足を開く。



「……で、その次は…せつながしてね…」
「んあぁっ…、無理…かも…んぅぅっ…はぅ…」
「…ふあっ……何で?…まだ行けるでしょ…?」



ゆるゆると腰を回し、じわじわと溶け合って行く。
二人で一緒に逝けたら、またその次はどうしようか……?
多分、今夜は疲れ果てて蕩け落ちるまで貪り合ってしまうだろう。



そして体の奥に火照りの種を宿したまま、朝を迎える。
いつまでも引く事のない熱を分けあったまま。








美祈6は、美希ブキside(R18・閲覧注意下さい)
最終更新:2013年02月12日 21:05