「女神達の黄昏」/黒ブキ◆lg0Ts41PPY




「……やっぱ、二人だとキツイね……。」
「ベリーとパイン、大丈夫かしら…?」

ピーチとパッションは肩で息をしながら浄化されていくナケワメーケの
残像を眺めていた。
戦闘の最中、ナケワメーケは二つに分裂した。今までになかったパターンだ。
それに混乱している内に、こちらも二対二に分断されてしまった。
不幸中の幸いで分裂した分、敵もパワーダウンしたらしく何とか二人でも
倒す事が出来た。

こちらをベリー達から引き離すために逃げ回るナケワメーケを
やっと追い詰めたのは、高層ビルの屋上。
随分遠くまで来てしまった。
もし、他の二人が苦戦しているならアカルンで応援に駆け付けないと……。

そんな事を考えていると、ピーチのリンクルンが鳴った。


「……何だったの?」
しばらく話してリンクルンを仕舞ったピーチにパッションが尋ねる。
「ベリーから。向こうも片付いたみたい。怪我もないってさ。」

「そう、よかった……。」
パッションとピーチは息をついて、何となくその場に背中合わせに座り込んだ。

「!!………すごい…ね。」
ピーチの唐突な感嘆に、何が?と聞き返しかけたパッションだが、
すぐに意味を理解した。

燃えるような夕焼け。秋の太陽が末期の輝きを放つように、世界を深紅に
染め上げている。
こんなに高いところで夕焼けを見るのは初めてかも知れない。
風の音しかしない、普段は閉鎖されているだろう屋上。
顔も体も全身茜色に染め上げられ、まるで世界に二人だけで
取り残されたような気分になる。


同じような気持ちになったのだろうか。
二人はどちらからともなく、唇を重ねる。
背中合わせに座ったまま、半分体を捻り、ちゅっ、ちゅっと音を立て
お互いの顔にキスの雨を降らせる。


「……この姿で、こんな事するの初めてね……。」

間近で見るパッションの顔。
淡い色に転じた豊かな髪。夕映えを思わせるような赤みがかった瞳。
せつなの時と顔立ちそのものは変わってないはずなのに、
何時もより凛々しく、引き締まった印象を受ける。

ピーチの心臓が早鐘を打つ。じわり……と、体の奥から溢れ出すものを
止められそうにない。
ピーチはパッションに向き合うように体の角度を変え、
深く、唇を重ね直す。

濡れた音を立てながら甘い口腔内を蹂躙し、指をフリルで縁取られた
パッションの衣装と肌の間に這わせる。

「……誰か、来たらどうするの…?」
口でそんな事を言いながらもパッションはピーチの頬に手を添え、
キスの続きをねだる。

「………逃げれば、いいんじゃない?」
それもそうね……。ピーチの言葉にそう答えながら、焦れたのか
今度はパッションの方から舌を絡めてくる。
お互い戦闘の余韻を引きずって高揚しているのを感じる。

「……あんっ…!」
ピーチがパッションの肩から胸まで一気に衣装を引き下ろす。
豊かな胸が夕日の中でもほの白く揺れる。
「…全部は…脱がさないでね……。」
ピーチは答えず、薄桃色の先端をいきなり口に含んだ。

「はあっ…ん!…んっんっ…!」
強く吸い上げ、手のひらで揉み上げながら舌を絡める。
柔らかだった乳首がみるみる固く尖り、舌の上をころころと転がる。

「……お願い…、こっちも……」
触れずにいた、もう片方をパッションは身を捩って差し出す。
ピーチは唇を放し、唾液に濡れた乳首を指で絡めるように揉みながら、
もう片方も同じように舌を這わせ、刺激し始める。

「……っはぁん…んぁ…、あぁっ!」
ピーチの頭を抱え、パッションはあられもない声を上げる。
普段のせつななら快楽に溺れそうになる体を恥じるように、声を殺そうとする。
それでも堪えきれない嬌声を漏らす姿は、それはそれでいとおしく、淫らだが
今のパッションはまた別人のようにピーチの心をかき乱す。
変身するとピーチ自身も自分が高揚し、好戦的になるのを感じる。
それは、情事の時にも言えるのだろうか。
貪欲に快感を貪ろうとするパッションは、戦闘時、真っ先に突入して行く姿に通じるものがあるのかも知れない。

「……パッションばっか、気持ちよくなってズルい…」
あたしにもして……、そうピーチが囁くと、パッションはピーチの太ももの内側を
撫で上げ、膨らんだスカートの中の下着を引き下ろしにかかった。

「わはっ!……ちょっ、いきなりそっち?!」
「……だって、手が上がらないんだもの。」

パッションはピーチが胸の下まで肩口を広げるように下ろした衣装で、
ちょうど上半身を拘束された形になっている。
確かにこれでは肘から上は自由に動かせない。

「……でも、ほら……」
ピーチの秘部はすでに滴るほど潤っており、パッションが指を動かす度に
クチュクチュといやらしく水音を立てる。
「もう……充分みたいよ…?」

パッションの潤んだ目が細められ、上目遣いにピーチを窺う。
その挑発するような視線に、ピーチの背筋にゾクゾクと興奮が駆け昇る。

「ひゃうっ!……ひぁんっ……ンンっ!」
卑猥な音を立てて敏感な部分を煽られながらも、ピーチは
パッションを膝立ちにさせ、お互い向かい合う。
ピッタリと下肢を覆う黒いタイツは脱がすのは大変そうだ。
途中まで下ろそうかと中に手を忍ばせる。
すると、それは思ったより柔らかくて伸びがいい。
そのまま指を動かしても余り支障はなさそうだ。

「あああっ!……いやぁっ…やぁん…っ!」
そのまま、グイッと手首までタイツの中に突っ込みパッションの弱いところを
攻撃する。
ピーチと同じく、そこは熱くぬめり指が吸い込まれる。

「…パッションだって…すごいよ…、指が蕩けそう……。」

どちらからともなく、お互いの指の動きをシンクロさせる。
濡れて膨れた蕾を擦り上げ、沈めた指で粘膜を引っ掻く。
腰に手を回し、胸を擦り付けるよう体を密着させる。
ピーチの胸の布地越しに固く屹立したお互いの乳首が擦れ合う。
下腹部とはまた違う、ピリピリと痺れるような刺激が体を駆け巡る。

赤く染まった世界の中、戦士の衣装を纏った少女達は、ただ無心に
快楽だけを貪り合う。

向かい合い、抱き合いながら息遣いも荒く舌を、秘肉を絡め合う。
ただひたすら、お互いの体を頂点に導こうとしていた。

「はぁっ…、はあっ、パッション……あたし…もう……っ!」
「っんんん!………私もっ……もう、ダメっ…!」
「……ね、……一緒に…あっ!……あぁっ!」

「あぁああっ!……っっはあ…!……あんっ、んーー!」


少女達は同時に激しく痙攣し、果てた。
息を静めるためにか、軽い口付けを何度も交わし、腰に腕を回したまま
その場に崩れ落ちる。


パッションは乱れた姿のまま、無意識の行為なのかピーチの愛液に濡れた
自分の指を舐める。
その姿にピーチは誇り高く穢れ無き女神を、思うさま蹂躙し、凌辱し尽くした
ような背徳感を覚え、震える。
達したばかりの体に、また火がつきそうだった。


「ピーチ、下着、上げないの?」
パッションは自分は剥かれた衣装を引き上げながら、
ぼんやりしたピーチをたしなめるよう、声をかける。
まるで『はしたない!』と言わんばかりの口調に、ピーチは少し呆れ返る。
ついさっきまでピーチ以上に激しく乱れていたのは、どこの誰なんだか。


(これは、帰ったら第2ラウンドだね!泣くまで苛めてやるから!)


そんなピーチの思惑も知らず、パッションはアカルンを呼び出して
いそいそと帰り支度をしている。

そのあと、せつながラブにどんな事をされたかは、また別のお話。
最終更新:2013年02月12日 19:05