「月の下」ラブver/SABI
「暑さ寒さもお彼岸までっていうけど、
イヤー今日は、涼しいを通り越して、寒いくらいだよ。」
「そうね、今日はちょっと肌寒いわね。」
あたしとせつなは、いつもお風呂上がりに
ベランダに出て、おしゃべりしてる。
あたしは、あたしの話にうんうんとうなずくせつなの横顔や、
あいづちを打ってくれる少し低い声が大好きで、
ついつい長話をしてしまう。
でも、あたしとせつなは学校が同じで、登下校も一緒。
しかも、ダンス練習も一緒となれば、 あたしがせつなのことで知らない事、
せつながあたしのことで知らない事を見つけることの方が難しい。
あたしの話は、せつなだって知っていることがほとんどなのに、
それでも、嫌がりもせず、むしろ喜んで聞いてくれるのが嬉しい。
今日も話に熱が入りすぎたらしい。
気がつくと、せつなの肩は震えていた。
「もう部屋にもどろう」
そう言ってあたしは、せつなの右肩に右手を置き、肩を抱くようにすると、
せつなはあたしの右手に自分の左手を重ね、首をふるふると横に振る。
「ど、どうしたの?」
あたしは慌てて顔を覗き込むと、 あたしの肩口に顔をうずめ…
「も……、すこしこのままで…」
せつなが囁く。
寄り添う二人を見つめるのは、中天にかかる今宵の満月のみだった。
了
最終更新:2013年02月16日 16:38