「おあずけ」/◆BVjx9JFTno




「せつな、大丈夫?」
「ええ...何とか」


玄関の掃除をしていたせつなが
天井のすすを取るために登っていた
脚立から、落ちた。


幸い、お尻から落ちたので
湿布を貼る程度で済んだ。


「こういうときに、アカルンで移動して
 守ってくれればいいのに...」


つい、あたしは愚痴ってしまった。


「キィ?」


少しムッとしたような、アカルンの声が
聞こえたような気がした。






掃除も済み、あたしの部屋で
せつなとお茶を飲む。


窓の外に、綿のような雪が
ちらつき始めた。


「わあ、寒そうだね...」
「ええ...でも、ラブと居ると暖かいわ」


「せつな...」


せつなの髪に触れる。
さらりと、指が通る。


せつなが、微笑みながら
こっちを向く。


せつなが、目を閉じる。
あたしだけの、せつな。


唇を、寄せる。



空を切った。


「あれ...?」


ドアが開き、
せつなが入ってきた。


「ごめんなさい、ラブ...」
「どうしたの?」


「急に、私の部屋に移動しちゃって...」


「アカルン?」
「そうみたい...」


あたしが、あんなこと言ったから
怒ってるのかな。


「ラブ、せっちゃん、ごはんよ!」
「はーい」



おあずけ。






体が火照っているのは、
お風呂上がりだから、だけじゃない。


夕ご飯に、うなぎをたくさん
食べたせいか、妙に...その...。



ドアがノックされ、枕を持った
せつなが入ってきた。


「あの...ね、ラブ...」


せつなの様子を見れば、
何が言いたいのか、わかる。


真っ赤に火照った顔。
もじもじと動く、足。


「あたしも、待ってたよ...」


せつなが、あたしの隣に座り
頭をもたせかける。


洗い立ての髪の、いい匂い。


胸いっぱいに、吸い込む。


両肩を軽く押すと、せつなは
パタンと、ベッドに仰向けになった。


潤んだ、せつなの瞳。


両手を拡げるせつなに、
吸い込まれる。



布団に、顔から着地した。


ひとりで、うつぶせに寝ている。



「もう!どして?」


部屋の向こうから、
かすかに聞こえる。


また、おあずけ。






体が疼く。


我慢できない。


布団の中で、
パジャマを全部脱ぐ。


胸に、手を触れる。



想像する。



あたしの乳首を可愛がる、
せつなの人差し指。


もう片方の乳首の上で、
細かく動く、せつなの舌先。


「ラブ、ここ好きよね...」



手を、下に降ろす。


すでに、滴り落ちそうなほど
あふれている。



せつなの吐息が、かかる。


敏感な部分を、吸われる。


やさしく這い回る、せつなの舌。


あふれるそばから、せつなに
すくい取られる。






指が、入る。


浅く、深く。


ゆっくり、速く。


あたしの高まりに合わせるように、
中をかき回し、上の壁を擦る。


耳元で、ささやかれる。


「ラブ...大好き...」



体の奥から、刺激が
突き上がってきた。


腰が浮く。





突然、横に人影が現れた。


せつな。


あたしと同じように、裸で
自分を慰めている。


「えっ?せつな?何で...あああっ!」
「ちょっと!やだ!どしてラブが...あああん!」



同時に、果てた。


見られながら。


見ながら。






背を向けて、寝転がる。



顔から火が出るほど
恥ずかしい。



「せつな...見たよね」
「ええ...私のも...よね」


「はしたない、よね...」
「私こそ...」


「でも...せつなのこと考えたら、あたし...」
「私だって...ラブのこと考えながら...」



向かい合う。



「ふたりが、いいよ...」


せつながうなずき、
目を閉じる。


再び、体が熱くなる。


きっと、アカルンの機嫌が直って
あたしたちを引き寄せてくれたんだ。


やっとだね、せつな。



手を伸ばし、唇を寄せる。


手も、唇も、
空を切った。



また、おあずけ。



「もーう!アカルン!
 機嫌直してよお!」



ふたつの部屋から、
悲痛な訴えが同時に聞こえた。