生還の実感/◆BVjx9JFTno




湯冷めしないうちに、
布団にもぐる。


体は、まだ熱い。



天井を見つめる。


この部屋を出るときと、
変わらない風景。


アカルンを使って家を出たのが、
ずいぶん前のことのように思える。


帰って来ない、覚悟だった。





捕らわれた私を救ってくれたのは、
みんなの声。


ラブの声。


「思い出してよ。
 せつなの、本当の気持ちを!」



生きて、帰ってきた。



緊張の糸が、ぷつりと
切れている感じがした。


途端に、恋しくなる。


ラブに、そばにいて欲しい。
そばに居たい。


抱きしめて欲しい。
抱きしめたい。



愛して欲しい。


愛したい。



枕を抱え、部屋を出る。





廊下に出た瞬間、
人影が視界を遮った。


「きゃっ...!」
「あっ...!」


枕を抱えた、ラブの姿。


「ラブ...?」
「せつな...?」


紅潮した、ラブの顔。
少し内股気味に、もじもじしている。



考えていることは、
同じなのかも知れない。


火がついたように
体が熱くなった。


片手で枕を抱えたまま、
右手でラブのパジャマの裾を掴む。


「せつな...」


答えず、ゆっくりと裾を引き、
私の部屋にラブを入れる。


ドアを閉めた瞬間、私とラブは
枕を放り、体当たりするように抱き合った。



何も、話さなかった。


ただ、貪るように
唇を吸い合った。


鼻から漏れる、息の音だけが
聞こえる。



そのまま、ベッドに倒れ込む。





夢中だった。


私の体全体で、
ラブを感じたかった。


お互いの、唇と、指。


お互いの体を、
すみずみまで這い回る。


私の愛撫で、
ラブが歓喜の声を上げる。


私の体も、ラブの愛撫に
応えるように、甘く跳ねる。


吐息がぶつかる。


指が絡み合う。


蜜が跳ねる音。



何度も、何度も、
お互いを呼び合いながら、


息が止まるような痙攣と、
甘い弛緩を、繰り返す。



ひたすら、お互いを求め合った。


情欲が、安堵に変わるまで。





ぬくもりの中で、目が覚めた。


ラブの胸に、抱かれている。


全身からふき出していた汗は、
すっかり引いている。


中が、少しだけ痛い。


激しく乱れたことを思い出し、
耳まで熱くなった。



規則正しく動く、ラブの胸。


あたたかくて、
やわらかい。


大切な人を、愛する。
大切な人に、愛される。


幸せな時間。





ラブの胸に、軽く口づける。


「ん...せつな...?」


軽く身じろぎをし、
ラブが目を覚ます。


「ごめん...起こしちゃった?」


「ううん、いいよ...」


私は顔を上げ、ラブの胸から
首筋、耳に口づける。


ラブが、私の髪を梳く。


「居なくなっちゃやだよ、せつな...」
「うん...」


私も、ラブの髪に指を通す。



「ずっと一緒だよ、せつな」


ゆっくりと、時間をかけて
唇を重ねる。


ラブが、私の胸に
顔をうずめる。


大好き。


想いと、胸の鼓動が伝わるように、
ラブの頭を、胸に押しつけた。