「frozen」/◆BVjx9JFTno




ふっと、
ため息が出る。


4つ並んだ、
味噌汁のお椀。



まただ。



ひとつ片付け、
3つのお椀に味噌汁を注ぐ。


すっかり、4組の食器が
普通になってしまった。




「おはよう」
「おっはよー」


お父さんとラブが、
食卓に入ってくる。



いつもの、朝ご飯。



「ラブは、最近お寝坊さんじゃないわね」


「うん!あたし、自分の出来ることを
 精一杯やることにしてるんだ!」



精一杯、と言う言葉を
ラブはよく口にするようになった。




部屋の掃除は、
毎日している。


片付けるものは
特に無い。


散らかす人が、いない。



几帳面な子だったから、
元々、散らかっていなかったけど。


晴れた日をねらって、
布団も、干している。




ラブの部屋も、前よりは
散らからなくなった。



机の上にある、
写真立て。



あの子の顔の部分だけ、
指紋で曇っている。



エプロンの端で、
綺麗にぬぐう。



最近は、この繰り返し。




挽肉を、炒めた玉葱と混ぜ、
ピーマンに詰める。


すっかり、うちでも
定番の料理になった。



炊飯器のスイッチを入れる。
そろそろ、みんな帰ってくる頃だ。



「ただいまー!」


ラブが、もの凄い勢いで
飛び込んできた。



冷蔵庫を開ける。


「ラブ、手を先に洗いなさい!」
「ごめん!急いでるの!」




冷凍庫の奥から、あわただしく
タッパーを取り出す。


ハンバーグ。


にんじんとブロッコリーのボイル。



お弁当や、急におかずが要るときのために
ラブと私で、多めに作って冷凍している。


「どうしたの?」
「詳しい話はあとで!保冷剤借りるね!」



保冷剤と一緒に袋に詰め、
ナプキンで包んでいる。


赤の、ナプキン。



何をしているか、
大体わかった。



ラブが、全速力で
家を飛び出していく。



ラブったら、よりによって、
ご飯なんて。



でも、貴方らしいわね。




戸締まりをしていると、
上で人の気配がした。


外に出て、見上げる。


ベランダで、ラブが
じっと空を見上げている。


「ラブ」
「...お母さん」



「届くといいわね。」



一瞬の間をおいた後、
ラブの顔に、満面の笑みが広がる。


「うん!」


久しぶりに、この子の
晴れやかな笑顔を見た気がした。



星が瞬く空を
見上げる。



貴方のことだから、
がむしゃらに、頑張ってるんでしょうね。



たまには、帰ってきなさい。


みんな、待ってるわ。



ラせ1-20は、せつな視点で