『とけたプリン』/Mitchell&Carroll




 その子ときたら、根を詰めて本とにらめっこを続けるものだから、左右のほっぺたは知識でパンパン。そんなこんなでもう二時間。気温はぐんぐん上昇中。5月のくせに。
 いちかとあおいは買い出しに行ったきり戻って来ないし、気まぐれ猫も何処をほっつき歩いているか分からない。となると、いま彼女を救えるのは自分のみ――取り出だしたるは牛乳、卵、砂糖、バニラエッセンス。これらをシェーカーに入れて、これでもかというくらい振ってやったら、あとは氷の入ったグラスに注ぐだけ。

「冷たいミルクセーキをどうぞ」
「あきらさん!」

 ぐんぐんと飲み干し、「ぷはっ」と一息ついたその顔が、どことなくみくに似ていたものだから、ついつい眺めていたら、せっかく下がったひまりの温度が……また上がってしまった。