「しっかり者の9歳」/ゾンリー




朱色のポシェットを拾った。辺りを見回しても何かを探してるような人はいない。
「どうしよう…?」
ついでにいつも一緒の奏太とスズも今日はいない。
「おまわりさんに届ければいいんだよね。」
交番の方向を確認して、アコは歩き始めた。
「すいません、これ拾ったんですけど。」
交番に入ってそう言った瞬間、後ろから声が聞こえた。
「あの!小さなカバン、落ちてませんでしたかっ!?」
息を切らせているアコと同い年位の少女。赤い髪と大きなつり目が特徴的だ。
「もしかして…これ?」
アコがポシェットを差し出すと彼女は一層目を見開いた。
「これです!」
初老のおまわりさんは「もう大丈夫だね」という顔をしたので、アコ達は二人揃って交番の外に出た。
「拾ってくれてありがとう!私は剣城みく!あなたは?」
「アコ。調辺アコよ、みく」
「うん!ありがとねアコ!」
白い歯を見せて笑顔のみくは、何かを思い出したかのようにポシェットを漁り始めた。
「これ、お礼にどうぞ!」
とみくから手渡されたのは、
「犬のチョコレート…?」
「うん、お姉ちゃんが作ってくれたの!」
口に運ぼうとしたその時、遠くで子供の泣き声が聞こえた。
顔を見合わせて、走り出す。
「うわぁ〜ん!」
座り込んで泣いている小さな女の子。どうやら転んだみたいだ。
どこを見ても外傷はない。みくがどうしようかうんうん唸ってる横で、アコはチョコレートを女の子に差し出した。
「みくごめんね。」言葉はそれだけで十分だった。
「だいじょーぶ。」アコにもそれだけで十分伝わった。
チョコを食べて笑顔になった女の子は母親の元へと走っていった。
日が暮れ始めた道を、アコ達は歩いていた。
「ほんとによかった?チョコレート、最後の一つだったんでしょ。」
「へーき!それよりもあの子が笑顔になってくれてよかった~
あ、私の家こっちだ。」
Y字路に差し掛かる。立ち止まって、別れの挨拶。
「バイバイ、みく!」
「バイバイ、アコ!」
(困ってる人をほうっておけないの、響達といっしょ…まさかみくも…?ふふっ、なんてね)
少し軽い足取りで、帰路につくのだった。(終)



現5-84は、再会した二人のお話です。