「いつか望んだ横顔は」/ゾンリー




「あ、見てアコてんとう虫だ!」
「わあホントだ。かわいいね。」
小学校の帰り道。珍しく奏太君が風邪で休んだので私_スズとアコ、2人での帰り道。
私達はアスファルトの塀に向かって座り込んだ。
名前のわからない雑草に2匹の真っ赤なてんとう虫が止まっている。
私は隣でてんとう虫をつつくアコの横顔を見つめていた。
「昔はさ、こうして横顔を見ることって無かったよね」
「急にどうしたのスズ?…でも考えてみればそうだったわね」
「アコは王女さまで、私は王宮音楽隊の娘。一緒に遊んだ事は一杯あったけどこうして隣に並ぶなんて考えもしなかった。」
「でもどこかに、そうなりたいって想いはあったんじゃない?」
アコの優しい言葉に、素直に頷く。
「…地位の差も無くして、王族だからって遠慮もしなくて、ただただ親友として遊びたかった。それが今__」
私の言葉を遮ったのは男性3人組。
「「「何をしている〜♪」」」
高中低音がハモる。
「三銃士の皆さん。」
「やぁースズちゃん、久しぶりだねぇ」
声の低い、ガタイのいい人はバスドラさん。
「元気にしてましたか?」
少し高めの、優柔不断そうな人はファルセットさん。
「見ない内に大きくなって…」
女性的な顔立ちの普通の声の人はバリトンさん。
「アンタ達、どうしたの?」
アコが尋ねると三銃士はまた声を揃えて言った。
「「「ご無沙汰してますアコ王女〜♪」」」
「王女はやめてって言ってるでしょ。ほら…その、スズに対しての接し方と同じでいいから。」
反論するアコは頬が少し赤い。
「「「了解〜♪それでは仕事があるんで失礼します〜♪」」」
普通の(?)3人乗り自転車で楽器店の方向へ向かう三銃士。
「はぁ。なんなのアイツ達。」
「ふふっ、アコありがとね。」
「??」の吹き出しが似合いそうな首を傾げるポーズを取るアコ。
「さっき『王女はやめて』って言ってくれたでしょ?それが嬉しくて」
顔だけ向かい合い、最大級の笑顔。
「だって私も、スズと一緒の景色を見たい。王女だからとか、平民だからとかそんなの関係無しに隣にならんでさ。スズや奏太、皆といるとそれが叶う。アコ王女とスズじゃなくて調辺アコとスズになって、互いの弱さを出せる。素直な笑顔でいられる!隣にいて欲しいっていう気持ちはお互い様。」
上を見上げるアコ。私はてんとう虫を指先に乗せ、眩い空へと羽ばたかせた。アコも同じ動作をする。
「知ってる?てんとう虫って「幸せを運ぶ虫」なんだって。アコは私にとってのてんとう虫だ!」
「スズだって、私にとってのてんとう虫だよ。」
たくさん笑いあって、歩き出す。繋がれた手は永遠に続く私達の絆を抱きしめるようにしっかりと繋がれていた。
私は奏太君の風邪にちょっぴり感謝しながら、もう一度アコの横顔を見つめるのでした。