「Eternal Family」/コロ助MH




こつん、何か額にあたった軽い衝撃で私は目を覚ました。ここは朝日奈家の屋根裏部屋ではーちゃんの部屋に魔法で大きくしたベッドにリコ、はーちゃん、モフルン、私と同じベットに川の字で寝ていた。
「また皆で暮らせるようになったから魔法学校の寮の時みたいに一緒に寝ようよ」
との私の提案にはーちゃんとモフルンは賛成してくれたのだがリコは。
「もう私達子供じゃないのよ」
と一人反対してたのだが何だかんだと行っても結局付き合ってくれる事になり。
「もう最初だけなんだからね」
と言ってた割にはあれから3ヶ月程経ったが続いており、今では就寝まではそれぞれの部屋で過ごすが夜になるとはーちゃんの部屋に集まって一緒に寝るのが私達の習慣になっていた。

私の額に当たったモノの正体ははーちゃんの左手だった。よく観ると両手を挙げたあのポーズでグッスリと眠っている。
「そういえばはーちゃんがこの姿でウチに来た時もモフルンと一緒に寝てたっけ」
静かに体を起こしそっと彼女の両手をふとんに入れてあげてると自然と笑みがこぼれてきた。
その寝顔を観てると本当に愛おしくなってくる。私達が成長して大きくなったのもあるんだけども、そのせいか昔と変わらない姿のはーちゃんは本当に自分たちの娘にも妹の様にも思えてくる。だからこそ今のうちに何とか出来ないかなあと思ってしばらく見つめていると。
「みらい、どうしたの?」
と小声でリコが話しかけてきた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「大丈夫よ、でも何かあったの」
と尋ねてきたので。
「実はずっと考えてきた事があるの、はーちゃんと私達の事で」

静かにふたりを起こさない様にしてベッドを出て私の部屋でずっと胸に秘めていた事を打ち明けると。
「う~ん、難しい問題ね でもその魔法は一時的な効力なものだったらあるって聞いた事があるけど 大体、そんなものがあったら魔法界の住人には老人はいない…」
と言いかけた所で。
「思い出した!一つだけあるわ 私、実際にその人には会っているし 但しかなり厳しいみたいなんだけどね」
明日その人物の所に行って来て『それ』を分けて貰ってくるので、はーちゃんが帰宅する一時間前にこの部屋で待ち合わせの約束をしてまた屋根裏部屋に戻ってふたりを起こさない様にベッドに戻り眠りについた。





   「Eternal Family」





次の日の夕方、みらいの部屋にモフルンと3人で集合した。テーブルの上には急須と普通サイズの湯飲みがふたつとままごとで使う様な小さな湯飲みが置いてあった。
「モフルンはぬいぐるみだし、きっとずっとそのままなんだから私達に付き合わなくても良いのよ」
の言葉に。
「みらいとリコがはーちゃんの為にやるんだったらモフルンもやるモフ!」
と鼻息を荒くしながら答える。
「それなら覚悟してね、みらいもね」
急須からお茶が注がれ各人の手に渡った。
「それじゃ行くわよ、1、2、3」
と同時に湯飲みを口した次の瞬間、3人の体には衝撃が走った。予想をはるかに越える苦さだった。確かに年をとらないと聞いてもこれは飲めた代物じゃない。そういえばアイザック先生も若返ると知ってても飲んでなかったわね。
「こ、これは…」
「モフォ」
何とか飲み終えた3人だが共に眉間に皺を寄せ、脂汗が止まらない。でもそんな中
「私は大丈夫、はーちゃんの為だよ、頑張って続けよう」
と青い顔でみらいが作り笑顔で言う。彼女の懸念はこうであった。
「きっとはーちゃんはこの先もあの姿のままだと思うんだ、だから私達だけ成長していってそしていつかは… なんて日が来たらはーちゃんはひとりぼっちになってしまうから何とかずっと一緒に居てあげられる方法ってないかなとずっと考えてたんだよね」
「それはつまり私達もこのまま若い姿のままでいるって事?」
「そうなるのかな、でもリコには迷惑かけたくないから私だけでもと考えているんだ」
「何を言っているのはーちゃんは私も大切よ、そしてみらいあなたもよ 分かったわ何とか方法を探しましょう」
と言う事になりそこで実際、ずっと若い姿を維持し続けている校長先生を思い出し若さの秘訣と言う薬膳茶を分けてもらいに行き、事と次第を伝えお願いすると。
「君達のはーちゃんへの想いはよく分かった 好きなだけ持って行きなさい」
と快く分けて頂けんだけど…これは。
「『良薬口に苦し』だよリコ、こっちのことわざであるの身体に良く効くお薬ほど苦いんだって」
落ち着いたのかみらいが今度は本当のいつもの笑顔を向けてきた。
「モフルンもちょっと苦かったけどこれから毎日飲むモフ~」
「私だって大丈夫よ、それにいつか校長先生になるんだしどうせなら今の校長先生みたいに若いままの姿が良いしね」
とウインクしてみせるとみらいが飛びついてきた。
「ようし決めた私も魔法学校の先生になる!そしてリコと一緒に校長先生になるんだ!!」
まだ魔法学校に通い始めてもいないのに何だかなあと内心思いつつも、でもみらいとふたりでの校長先生の衣装で並んでいる姿を想像したらそれはそれで悪くなかったので。
「そうねみらい、待っているわよ! それではこれからもはーちゃんの為に皆で頑張って行きましょう ではカンパ~イ!」
「おー!」
「モフ~」
と3人で2杯目のお茶を高らかに掲げ口にした瞬間に
「ただいま~ みらい、リコ、モフルン、私が何~?」
突然、はーちゃんが部屋に入ってくるものだから今度は3人とも盛大に吹いてしまった…
「もうっ3人とも汚~い、はーちゃん雑巾持ってくるね~ おばさま~」
と階段を降りていった。
「ゴホッ、ゴホッ」
突然の出来事にむせてた私達だったが治った後にお茶まみれになっているお互いの顔を見てたら。
「うふふっ」x2
「ふふっモフ」
と何だかおかしくて笑いが止まらなくなってしまった。
「もう部屋中、お茶まみれにして何で皆で笑ってるの? はい、拭くの手伝って」
とはーちゃんが少し頬を膨らましながら雑巾を渡してくれたんだけどいつまでも笑っている私達を観て。
「私の知らない所で皆で楽しそうな事してて~ もう知らない!」
と部屋を飛び出して行ってしまった。
その後、皆で部屋を掃除し風呂に入り夕食を終え就寝の時間になっても、なかなかはーちゃんの機嫌は直らなかった。
「今晩は一緒に寝るのは無理かな」
屋根裏部屋への階段を見上げながらみらいの表情が曇る。
「そうね、でもちょっとだけ覗いてみましょうか」
3人でこっそりと階段を上がっていくとはーちゃんがベッドに腰掛けて座っていた。私達と目があうと
「遅~い、もう皆寝るよ」
とふとんに入っていった。これは大丈夫かなと目で合図し、いつものはーちゃんを中心にした定位置で続いてふとんに入っていく。
「はーちゃん、さっきはごめんなさい」x2
「ごめんなさいモフ」
「別にもう怒ってないよ でも何でみらいの部屋で3人だけでお茶を飲んでたの?」
の言葉にみらいとモフルンと目配せすると頷いて返してきたので。
「実はね…」
事の顛末を話すとはーちゃんはボロボロと涙をこぼしながら抱きついてきた。
「みんな大好き! はーちゃんもずっとリコとみらいとモフルンとずっと一緒に居たいよ そうだ私も薬膳茶を飲んで校長先生になる!」
「いや薬膳茶飲んだだけじゃ…」
とつっこむ間もなく。
「だったらモフルンも薬膳茶を飲んで校長先生になるモフ」
「よーし、明日から皆で薬膳茶を飲んで校長先生になろう!」
「えっみらいまでもが?」
あまりにもコントの様な展開にお腹がよじれる位おかしくて。
「ぷっ、あははは~」
思わず笑いころげてしまいベッドから落ちてしまった。
「どうしたのリコ?」x2
「大丈夫モフ?」
と心配そうに声をかけてくる。
「これはあなた達のせいだからね」
と内心思いつつ、ベッドに戻り息を整えてから彼女達に伝える。
「あのね最初に言っておくけど薬膳茶を飲んだだけじゃ校長先生にはなれないのよ まずは魔法学校に通う所から始めないとね」
最初ポカンとしてた3人だったんだけど次第に私の言葉の意味が理解したみたいで恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてバツが悪そうな顔をしていた。そんな姿を観てたらまた笑いが込み上げてきて、そしてみらい達もまた照れ臭そうに笑いはじめるとあっと言う間に部屋の中が笑い渦に包まれた。
「何よリコ~、最初に言ってよ~もう~恥ずかしい~」
「あなたが何を言っているのよ全く」
「リコ、じゃあはーちゃんも魔法学校に行って薬膳茶を飲んで校長先生になる~」
「モフルンも魔法学校行に行って薬膳茶を飲んでから校長先生になるモフ~」
と賑やかにしてると。
「こら~静かにしなさい!ご近所迷惑よ」
と階段下から今日子の声が聞こえてきた。
「ごめんなさーい」x3
「ごめんなさいモフ」
と思わず皆で布団を頭まで被ると。
「もう遅いんだから皆ちゃんと寝なさいね おやすみなさい」
の言葉と共に足音が離れて行ってしばらくしてから布団を首元まで下ろして皆で目が合うとまた笑いが込み上げて来そうになるのをこらえて。
「もう寝ましょう、明日も早いしね それとあの秘密のお茶会は皆が帰宅してからやりましょう おやすみなさい」
「おやすみなさい」x2
「おやすみなさいモフ」
目を閉じたらあっという間に眠れた。たくさん笑ったおかげかもしれない。その夜は私達4人が校長先生の衣装を着て校長室でお茶会をしている夢を見た。



その頃、魔法界の校長室では
「新たなお告げがありました!また新たな校長先生がまた3人も生まれつつあるとの事です」
魔法の水晶が予言を告げた。
「何じゃと~3人も!どうなっているじゃ?」
「それは良く分かりません」
「そういえば前のその予言の時には聞かなかったのじゃが、新たな校長が出現した時にはわしはどうなっているんじゃ?」
「……」
「おい教えてくれ」
「今日はもう疲れたので休ませて頂きます」
瞬間、フッと電源が落ちた様に水晶のキャシーの横顔が消える。
「おいっ、わしはその時はどうなってるんじゃ~教えてくれ!」
と取り乱している様子を聞き流しながら。
「ちょっと意地悪しちゃった でも大丈夫よその頃も校長はご健在で理事長になっているわ」
とほくそ笑んでいた。
「明日にでも話してあげようかしらね」
遠くに校長の声を聞きながら水晶は眠りについた。



競4-3はこの直前のお話、競4-21はこの続きのお話です。