開幕!『オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017』/夏希◆JIBDaXNP.g




 芝生公園の桜の木々が小さな蕾をつける頃、パンの移動販売店「Mofu Mofu Bakery」に並ぶ列の中から、大学生くらいの女の子が二人、中学生くらいの女の子が一人、仲良く談笑しながら山のようなパンを抱えて出てきた。
 中身は人気ナンバーワンのイチゴメロンパン。とは言え、軽く見積もっても50個以上はあるだろう。とてもじゃないけど3人で食べきれる量ではない。
 女の子の名前は、朝日奈みらい。十六夜リコ。花海ことは。みらいの肩にはクマのぬいぐるみ・モフルンが乗っかっている。ここ数日は、この顔ぶれで毎日のようにこの店に足を運んでいた。

「はー! 今日もいっぱい買っちゃったね」
「これどうするモフ? こんなに食べられないモフ」
「大丈夫! 計算通りだし……って、そんなわけないでしょ。私は指を立てて6つと言ったのよ? なのに、みらいったら60個も注文しちゃうんだから。誰かに配るアテでもあるの?」
「い、いやぁ、そういうわけじゃないんだけどね。みんなにも食べさせてあげたいな~って思ったら、つい……」

「「みんなって?」」

 リコとことはの問いに応えるように、みらいは何通かの封筒を、大切そうにバックの中から取り出した。

「わぁー、かわいい封筒! なんて書いてあるの? 読んでもいい?」
「ちょっと、みらい! これって……」
「うん。まだはーちゃんと出会う前のことなんだけどね、わたしとリコはある森でプリキュアの先輩達と会ったの。これは、その時のみんなからの、お話し会の招待状なんだ」

 そう語るみらいの口調は、楽しそうというよりも、むしろ懐かしそうな響きを伴っていた。

「あ、でもこれって……もう何年も前の日付になってるよ?」
「一番古いのは、私達と別れた直後くらいね」
「うん。毎年誘われてたんだけど、わたし一人じゃ行く気になれなくて」
「でもみらいは、招待状だけはちゃんと取っておいたモフ」

「そうだったの。今頃みんなどうしているのかしら」
「高校を卒業した頃くらいから招待状も来なくなっちゃってね。でも、きっとみんな仲良く元気にしてると思うんだ。わたし達みたいに」
「そうね」
「きっと、そうモフ!」

「だったら会いに行こうよ! 私も他のプリキュアの子達と会ってみたい!」
「でも、どこに住んでいるのか、どうしているのか、何もわからないんでしょ? それに人数だって50人以上居るみたいだし、全員と会うなんて無理よ」
「もしかして、できるの? はーちゃん」

「できるよ! 今のみんなじゃなくて、この手紙に込められた思いをたどって、その時のみんなになら!」
「それって、イチゴメロンパンの魔法と同じだね!」
「じゃあ、私達も中学生に戻って――行きましょう!」

「「「キュアップ・ラパパ!」」」

(手紙に込められた絆の力よ、わたし達を導いて。あの日、あの時、あの場所で、あの人達に会いたい!)

 イチゴメロンパンに込められた思い出の力で、みらいとリコが中学生の姿に戻る。スタイルは、ことはも揃って魔法学校の制服だ。続いて手紙に込められた絆の力で、4人は封筒の中に吸い込まれるように姿を消した。

 ポンっと飛び出した先は、見知らぬ町の空中だった。リコは慌ててホウキを出そうとするものの――間に合わずに、ドッシーンとお尻から落ちてしまう。

「みんな~! 怪我はないモフ?」
「アハハ……なんとか……」
「アイタタタ……なんか思い出しちゃうね。あの時もこうして落ちたっけ」
「あれは、落ちてないから! 計算通りだし、今回も魔法を使うまでも無いと思っただけよ!」

「みなさ~ん! 大丈夫ですかぁ?」

 軽快な足音と共に、元気な声が近付いてきた。ツインテールの女の子が小走りに駆け寄ってくる。4人の無事を確認して、それからは、キラキラとイチゴのような綺麗な瞳で、好奇心いっぱいの表情でみらい達を見つめる。
「最近は、生クリームだけじゃなくて人間まで降るんですね~」なんて冗談を、大真面目な顔で口にしながら。

「もしかして、あなたは!?」
「え……私のこと、ご存知なんですか?」
「え? だって昨日、モフルンケーキをご馳走してもらったばかりだし」
「ああ! あのケーキ、美味しかったよね~」
「おかしいですね。昨日はお話し会の準備で忙しくて、誰とも会ってないはずなんですけど……。でも、言われてみると、なんだか初めて会うような気がしませんね」
「だよね~。だって昨日……」
「ちょっと、みらい。はーちゃんが言ってたでしょ? わたしたちは、招待状に込められた絆の力でここへ来たのよ? と言うことは……」
「んー……。リコの言うこと、難しいよ」
「はーちゃんがそれ言う!?」
「それより今、お話し会って言ったモフ?」

「ぬいぐるみがしゃべったぁ!?」
「あ、驚かないでね。実はモフルンは……」
「ああ、平気です。ペコリンも……あわわわ、じ、実は、そんなに驚いてませんから。それよりもしかして、その封筒は――やっぱり!」

「おーい、いちかちゃーん。ケーキが焼けたよー! みんな待ってるよー!」
「あ、はーい! さあ、みなさんも来て下さい。ようこそ、先輩達。プリキュアの秘密のお話し会に!」

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『オールスタープリキュア!魔法でつなぐ!冬のSS祭り2017』

 テーマは『魔法』、もしくは『繋ぐ』、あるいはその両方です。初代からキラプリまで、さあ! プリキュアの秘密のお話し会の始まりです!