「「One Last Time」」/◆BVjx9JFTno




今日で、私の命は終わる。


ナキサケーベのカードを使い切っても
プリキュアを倒せなかった私は、
寿命を操作され、今日限りの命となった。


必要のない人間は、排除される。
私も、必要がなくなったということだ。



寿命を止められた人を、たくさん見てきた。
皆、一様に無表情だった。
死も、当然のように受け入れる。



私にも、その時が来た。








手紙を見た瞬間は、
激しく動揺した。


私が、必要のない人間となったこと。
存在する価値が無い人間となったこと。


しかし、任務を果たせなかったこと、
兵士として使い物にならなくなったことは、
この処遇を受け入れるには充分な理由だった。


やるだけのことは、やった。
私には、これが精一杯だったのだろう。



みんな、そうやって人生を終わる。


眠るようなものだ。


目覚めないだけだ。








椅子に腰を下ろし、
目を閉じる。


思い出されるのは、なぜか
ラビリンスではなく、ラブとの思い出。



抱きしめてくれた。
笑いかけてくれた。
手を差し伸べてくれた。



そのラブでさえ、もう
私を必要とはしていないだろう。


正体を隠して、だまし続けた。
夢を、壊し続けた。
差し伸べられた手を、払いのけ続けた。
友情のしるしも、踏みつぶした。



思いつく限りの、憎まれることを
やってきた。



絶望に満ちたラブの表情が浮かぶ。


胸が、掻きむしるほど苦しくなる。







部屋を見回す。
片付ける物など、なかった。



指を曲げ、手のひらを合わせる。


「スイッチ、オーバー」


手を伸ばし、東せつなの姿に変わる。



無意識に、手が
胸元のペンダントを探る。


指先が空を切り、それがもう
無いことに、あらためて気づく。



私とラブをつなぐものは
もう、何もない。



占い館を出る。
もう二度と、ここに戻ってくる
ことはないだろう。






命が尽きる前に、
ラブと決着をつける。


おそらく、勝負にならないだろう。


私にはもう、体力が残っていない。
簡単に倒されるかも知れない。


それなら、それでいい。


憎まれて、倒されて。消える。
今の私には、よく似合っている。



『我々の全ては、メビウス様に決められている。
 もしや、それ以上のものを手に入れられるとでも
 思っているのか?』



サウラーには
解っていたのかも知れない。


私が無意識に「それ以上のもの」を
求めていたこと。


ラブの笑顔。
友達。
そして、幸せ。



求める全てのものは、
掴むことが出来なかった。






草を、踏みしめて歩く。


遠くから人影が
近づいてくる。


やはり、来た。



涙があふれそうになる。


最後に、ひとつ望めるのなら、


もう一度、抱きしめて欲しい。




今さら、何を。


心を、憎悪で塗りつぶした。



躊躇なく、ラブが
私を倒せるように。



ラせ1-9は、しばらく後の二人