「+3」/◆BVjx9JFTno




左足の前に、右足を交差させ
くるりと、ターンする。

一番初めに、習ったこと。

子供たちが、目を輝かせながら
何度も、やっている。


子供たちとダンスあそびをすると、
最後はいつも、何か踊ってとせがまれる。

4人で踊っていた曲を、
ひとりで、踊ってみせる。

子供たちは、大喜びで
見てくれる。


でも、このダンスは、
4人で輝くもの。

ひとりで踊るたびに、
そう思う。



私は、ここを笑顔でいっぱいに
することに、決めた。

人を笑顔にするために、
必要なこと。

それは、自分が
とびきりの笑顔でいること。


人に幸せを感じてもらうために
必要なこと。

それは、自分が
幸せを感じていること。


目を閉じる。


私が、幸せを感じているのは
どんな時?


みんなと過ごしていた時。


受け入れてくれた仲間。

いっしょに闘い、いっしょに踊り、
いっしょに笑い、いっしょに泣いた友達。


会いたい...な。



今日のダンスあそびでも、
いつものダンスを、せがまれた。


プレーヤーのスイッチを押す。

イントロが始まるまでの間、
下を向いて、集中する。


子供たちの、ざわめきが
聞こえた。

同時に、両側に
人の気配を感じた。

横目で、右を見る。

息を呑んだ。

美希。

左を見る。

ラブ。

その向こうに、ブッキー。

「ラブ...!」
「話は後で。いくよ」

ずっと聞きたかった、
ラブの声。



イントロが鳴り始める。

自然に、体が動く。


よみがえってくる。

4人の間隔。
呼吸のタイミング。

目に映る、景色。


公園の広場。

少しだけ厳しい、
指導の声。

ブッキーが作ってくれた、
体にぴったりの練習着。

みんなで食べた、ドーナツ。


美希と向き合い、
ハイタッチを交わす。

美希が、片目をつぶって
合図をくれる。

久しぶりに、決めるわよ。



4人が、ぎゅっと
くっついて並ぶ。

右腕を、上から
美希の左腕に絡める。

ラブの右腕が、上から
私の左腕に絡められる。


ウェーブを流すときに、
ブッキーと目があった。

せつなちゃん、いい笑顔。

優しい瞳から、伝わる。


思い切り動けるよう、
感覚を徐々に拡げる。

ステップ、体重移動、
スイング。

いつもよりも、しっかりと
乗れている。


みんなの心がシンクロし、
ひとつの大きな波になる。


みんなと居る、幸せ。

少しだけこぼれた涙を、
ターンで吹き飛ばす。


自分でも、わかる。

最高の笑顔に、
なっているはず。



最後のポーズが、決まった。


いつの間にか、子供たちの他に
たくさんの人が集まっていた。

わき上がる、拍手と歓声。


「ラブ...どして...?」

「にははー、遊びに来たシフォンに
 ここを映してもらったら、会いたくなっちゃって...」

ラブが指さした先には、笑顔で手を振る
タルトと、シフォン。


「いっぱいおしゃべりしたいけど、
 もうちょっと後になりそうだね」


子供たちを見る。

「お姉ちゃんたち、かっこいい!」
「教えて!教えて!」


子供たちは、いつの間にか
4人ずつの組になり、教えてもらうのを
今か今かと待っている。


「さ、今度はお姉ちゃんたちと一緒に踊ろ!」

ラブが子供たちの中に飛び込む。

みんなに遅れまいと、私も
子供たちの輪の中に飛び込んだ。


広場にあふれる、たくさんの
弾けるような笑顔。


ありがとう。

また、みんなに
助けられちゃったな。