「Friendful party(フレンドフル・パーティ)」5




 ようやくトワの指が止まった時には、ひめは笑いすぎて涙をこぼしていた。
 レジーナが右手を離して、ひめのくちびるを拭いてやる。こっちはヨダレをこぼしていた。
「トワワンってひどいよねー、ひめ?」
「レジーナだってひどいよね!?」
 ひめが怒りのまなざしをレジーナにぶつける。 ――― でも、まだ右手はレジーナの左手と握りあったままだ。温泉の湯の下で、しっかりと繋がっている。
 ぎろりっ…と視線を巡らせて、ひめが背後のトワにも怒りを向ける。
「……で、トワはわたしに何かいう事ないの?」
「ごっ、ごめんなさいっ」
 身を縮こまらせて、トワが謝る。こちらは真摯に自身の行為を反省しているようだった。
「わたくし、ひめを気持ちよくして差し上げるつもりが、ついイジワルするのに夢中になってしまって。ああ、なんということを……」
「いや…、別に、そんなに怒ってないんだけど」
 トワが泣いてしまうんじゃないかと思って、あわてて怒りを引っ込めるひめ。
「本当ですかっ!?」
 実際にトワは涙を流す寸前だった。そんな彼女のフォローすべく、レジーナがあさっての方向を向いて嘯(うそぶ)く。
「ま、ひめって三人の中じゃ一番の美少女だし、可愛すぎてイジワルしたくなっちゃうもんねー」
「美少女!!?」
 ひめが飛び上がらんばかりに反応。そして、さらりと口からつぶやきをこぼす。
「プリキュアの中で……わたしが一番の美少女……」

 ――― いや、あたし、そこまで言ってないでしょ。
 レジーナが憮然とした表情になるが、ひめをノせる事には成功したようで、さっそくトワに謝っている。先のくすぐり責めに関しては、ひめの可愛らしさが原因で、それに惑わされたトワは無罪ということで一件落着。
「あ、でもね、もうちょっと…ちゃんと、気持ちよくなってみたいんだけど……」
 ひめがもじもじと顔を赤らめて、やや上目遣いでトワとレジーナを交互に見る。
「まあ確かに、ひめの場合、なんかひどかった気がする。……うん、よし、じゃあトワワンは、ひめの胸をお願い」
「こんな感じでしょうか……?」
 ひめの背中にぴったりと裸身を寄せて、両腕を彼女のカラダの正面へ回す。
 さっきの暴走を反省しているのか、さわり方はおとなしめ。
 なだらかなふくらみを愛でるようにすべる手の平。肌の白さに半ば溶けているような薄い色の乳輪へと伸ばした指先で、その中心を指先で優しく刺激。とても小さな円をクルクルと何度も描いているうちに、敏感な突起に固さが生まれ始めた。
「あぁ…はあっ、くすぐったいけど……気持ちいいよう」
「優しくしますね、ひめ」
 そう言って、感じやすい可憐な乳首を、人差し指と中指でそっと挟みこんで、そのまま手を左右にすべらせる。胸の先っぽが人差し指と中指の先まで来たら、今度は逆に二本の指の付け根まで。そして、また指の先まで。
 トワのなめらかな指の感触が、ずっと乳突起に触れながら、スー…、スー…、と優しい愛撫の往復を繰り返す。
「ふう…ん、…あっ、はあっ…あ……あっ、トワの指……すごく…きもちいい……」
 胸先の甘いくすぐったさに、緩やかに酔いしれてゆくひめ。思わずまぶたを閉じてしまった少女の耳を、愛くるしい声音が撫でてきた。
「素敵な夢を見させてあげるって言ったの、憶えてる? ――― 赤ちゃんを産む大切な場所に、ひめが幸せになれるおまじないをかけてあげる」
 ひめがうっすらと双眸を開くと同時に、レジーナの金色の髪が湯に没した。ふとももの間に侵入してくるこそばゆさ。ひめがくすぐったそうに裸身を震わせて喘ぐ。湯に潜ったレジーナが何をしようとしているかなんて全然分からなくて、
 ――― でも、
 さっきからずっとレジーナの左手と繋がったままの右手を信じているから。
 両太ももの間に強引に顔をねじ込まれた時は、正直恥ずかしすぎて情けない表情を晒したものの、レジーナになら何をされても怖くはなかった。

 心臓がいつもよりも大きく、速く、脈を打っている。
 最初に感じたのは、こそばゆさだった。軟らかいものが何度も肌をなぞっている。直感でそれがくちびるだと悟った。
 しばらくして、レジーナの頭が湯の表面を「ざっぱん」と割って出てきた。
「あぁ~ん、もう! 髪の毛重ーいっ!」
 プンスカと苛立ちを振り撒いたレジーナだが、ひめと視線が合うと、青い瞳に浮かぶ表情をコロリと変えて、チャーミングな笑顔になった。そして、自分のくちびるを指差す、
「このくちびるはね、四葉財閥や海藤財閥でも買えない、最強に価値のある宝石なんだから」
 それだけを言って、また唐突に温泉に潜るレジーナ。
 今度は、ひめが自分から左右のふとももを大きく開いて、レジーナの顔を招き入れる。
 軟らかな感触 ――― くちびるが、ひめのこそばゆい部分を何度もなぞってくる。くすぐったいけれど、右手が握った大切な手の平を頼りに耐える。
 ――― ぶるっ。
 カラダの奥 ――― 正確には腰の奥に、甘美とも言える震えが湧き上がった。レジーナのくちびるが触れている部分のすぐ近くだ。
「ひめ…」
「うん、平気。レジーナがね、わたしに幸せな気持ちよさをくれているの」
 ……トワの指も、だね。
 幼い乳頭をスリスリと指の腹で擦(す)り転がして、たまにキュッとイジワル気味につまんできたりもする。まるで宝物と戯れているような甘い指使い。
「あぁっ……こんなの…カラダ溶けちゃうよ……」
「レジーナは随分と甘い夢で、ひめを酔わせてくれているようですわね」
「レジーナだけじゃないよ。トワの指も……ふふっ、テクニシャンだから」
「まあ。ではせっかくですから、女の子専門のマッサージ師を目指してみようかしら」
 トワと一緒に笑うひめが彼女に「ねえっ」と呼びかけて、左手を肩の高さまで持ち上げた。
 後ろにいるトワが自然な所作で、ひめの手に自分の左手を重ねて、淑やかに握る。
――― ひめもトワも、手と手で繋がっているのが幸せだった。

 ぷくっ…ぶくっ、ぶくっ……。
 湯の表面に弾ける気泡に続いて、潜っていたレジーナが派手に湯を散らして顔を出した。

「ぷはっ。あー、やっぱり髪重ぉ。ねえ、ひめ、上がったら、あたしの髪乾かすの手伝ってよ」
「うん、手伝うから……その、もう少しだけレジーナの宝石で素敵な夢を見させてもらってもいいかな?」
「フフフッ、もし本気で気に入ったんなら、この宝石、奪って独り占めしてくれてもいいよ。買うことは誰にも出来ないけど、奪うことは出来るの。……まあ、マナぐらい素敵な人じゃないと無理な話だけど」
 美しい金髪が湯に沈んで、開かれた脚の間に近づいてくる。ひめがチラッと振り向いて、トワと視線を合わせた。トワが優しく左手を握り直す。
 まなざしを湯の下に戻したひめは、軟らかな感触が触れる前から、ぶるっ…と腰の奥に震えが走るのを感じた。トワに見られているのが恥ずかしいけれど、そのせいで少しゾクゾクする。
 ――― レジーナの左手と繋いだ右手に、微かだけれど、その反応が現れてしまったらしい。

(ああ、そういうことね。おっけー♪)
 ひめの心の奥底で疼いた願望を読み取ったレジーナが、青い瞳をいじわるい色に染めた。
(トワに見られながらイジメられたいんだ)
 友だちになったばかりの少女の無垢な秘部に愛しげなまなざしを這わせ、彼女をシアワセに導くためのおまじないを開始する。

「うっ! ……くっ…あはぁっ!」
 軟らかなレジーナの宝石は、ひめの大切な所に吸い付いてきた。まだ性器として扱ったことのない処女の秘肉が、恍惚の痺れになぶられる。
 腰の奥で、ぶるっ…ぶるっ…と震えが断続的に湧き上がっている。切ない火にチロリと神経を炙られたような感覚。熱くて……溶けそう。
「あああっ、レジーナっ……あああああっ!」
 あきらかに脱衣場にまで聞こえている声で、ひめが大きく喘いだ。
 小学生並みに細く、肉付きの少ない裸体が湯の表面に波を立てて悶え喘ぐ。

 大切な場所が ――― 愛されている ――― 。
 その姿を見られている ――― トワに ――― 。

 くちびる軟らかさは、ひめの敏感な所へ何度も押し付けられた。激しく、むさぼるようなキスによる愛撫。肉の悦びを掘り起こすためだけのくちづけ。
 ――― ビクンッ!
 と、、ひめの腰の奥で甘美な痺れが跳ねた。
「ああっ、やっ…だぁっ」
 思わず閉じてしまいそうになった両太もも。
 レジーナが一番こそばゆい部分に狙いを定め、頭を小さく振って軟らかなくちびるをこすり付けてくる。全身に広がった敏感さのために、ひめはもうどんな声もガマンできない。
「あああ……あ゛あ゛あ゛っ、トワっ、見て…っ、気持ちよすぎて……ふあああっ、すごいのぉぉっ!」
 甘やかに蕩けた秘肉を、舐めるように這うレジーナの宝石。
 気持ちよすぎて ――― 狂う。
 腰の奥で響いていた震えは、今はもう、びくっ…びくんっ!という断続的な痙攣の段階に跳ね上がっていた。
 ――― この瞬間、左手はトワに、右手はレジーナによって強く握りしめられた。
「……ふあああっっ!!」
 興奮の涙を頬に伝わせ、ふにゃっ…と緩んだ口で甘い啼き声を上げる。
 絶頂と呼ぶにはあまりに浅い快感の波だが、中学生の少女には充分すぎる官能体験だ。

 なによりも、
 湯の下から姿を現したレジーナへ全力で抱きついた時の幸福感、
 快楽の残り火でカラダをほてらせたまま、トワと静かに抱きあった時の陶酔感、
 カラダが感じた気持ちよさ以上に、
 白雪ひめの心は、あたたかな気持ちよさで満たされていた。



最終更新:2016年03月14日 00:03