「Friendful party(フレンドフル・パーティ)」4




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 レジーナを真ん中に、うら若き肢体を並べて肩まで湯船に浸かる三人の少女。
 このうち、レジーナとトワは、ぐったりとしたカラダを寄せ合ってへたり込んでいた。うっすらと乱れた吐息が、桜色のくちびるを妙に艶めかしく色付かせていなければ、温泉でのぼせてしまったようにしか見えないだろう。
 逆にひめは、レジーナにもたれかかって、ひと息入れているといった感じか。平たい胸の前で両腕を組んで鼻唄を歌っている。
 ……そのままの状態で、レジーナが口を開いた。
「トワもひめも……その、ありがとね。ちょっと元気でた」
「あら、素直ですわね。レジーナらしくない」
 と言って、クスクス笑うトワが言葉を続ける。
「最初は性悪猫だとばかり思っていましたが、こうしてみると意外に……」
「意外に……何よ? トワワン」
 性悪猫呼ばわりされたレジーナが軽い逆襲のつもりで、あえてトワが感情的な反応を示すニックネームで呼んでみる。しかし、トワは言い返してこない。
 あれ?と思うレジーナに、ひめが耳打ちする。
「……『トワワン』も、今じゃ大切な友から貰ったニックネームだから無下には出来ないんだよ」
「へえ」
 顔を上げたレジーナがトワを見る。ひめの言葉が聞こえていたらしく、彼女の表情は恥じらうように朱に染まっていた。それを突かないレジーナではなかった。
「ねえねえ、トワワン、『大切な友』って誰のことかなぁ? ね~え~、誰のことぉ~~?」
「やっぱりあなたは、ただの性悪猫ですわ!」
 フレンドリーに裸身にじゃれ付いてこようとするレジーナを、ヒジで牽制するトワ。そこにひめも交ぜてもらおうと笑って手を伸ばす。 ――― 瞬間、びくぅっ!とカラダをすくめるレジーナ。
「え、どうしたの? レジーナ」
「……ごめん、ひめの手って、ちょっとテクニシャンすぎてコワイっていうか……」
「テクニシャンっ!?」
 技量を褒められたような気分になったひめが、増長してふんぞり返る。
 ――― テクニシャン、か。ま、そんなこと……あるけどぉぉぉ!!!

「それよりも……」
 レジーナが、ふと思い出したように言った。
「ひめの相談、すっかり忘れてたけど……」
「そうでしたわね。とりあえずレジーナ、さりげなく胸を揉むの、やめてくださいません?」
 口でそう言うが、特にレジーナの手を振り払おうともしないトワが、真剣にひめへのアドバイスを考え始める。もちろん、レジーナもだ。ひめという『友だち』のために考えを巡らせる。
 だが、そんな二人を見た瞬間、ひめは見つけてしまった。
 自分が ――― 宝物だと思っていたモノ。
 それが、ひめの答え。

「ごめんっ、二人とも。わたし、自分がなりたいもの分かっちゃった!」

 自分のために真剣に悩んでくれたトワとレジーナの前で、両手を合わせ、深々と頭を下げる。
 顔を見合わせたトワとレジーナが、同時に笑みをこぼした。
「それなら……よかったですわ」
「ひめのなりたいものって何? あ、もしかして女の子専門のマッサージ師?」
「え…? 違うよ!」
「じゃあ何なの? 知りた~いっ。教えて教えて♪」
「え…えーっと……」
 嬉しそうにグイグイ迫ってくるレジーナに、困惑の表情を見せるひめ。そして、レジーナの後ろで溜め息をつくトワ。レジーナの首に首輪とリードを付けて、きゅっと後ろから引っぱってやりたい気分。
「レジーナ…、ひめがそれを最初に伝えたい相手は、大親友であるめぐみなのですよ」
 トワの言葉に、ひめがウンウンとうなずいてみせる。
 それを見たレジーナもまた、
「ああ、そっか。…うん、ひめの気持ち、なんとなく分かる」
 と、うなずいてみせた。
 ――― けれど。

 レジーナの瞳が、いたずらっぽくトワにささやきかける。
 そのまなざしは、トワにとっても魅力的な共同戦線のお誘いだった。
(なるほど。そういうことでしたら……)
 心の中で了承したトワが、何気無い風(ふう)を装ってレジーナの隣から、ひめの隣へと移動。
 自分の頬に片手を当てて、悩ましげに溜め息をついてみせる。
「あらあら、ひめの気持ちは分かっているというのに……。それでも急に訊き出したくて仕方がなくなってしまいましたわ」
「……へ?」
 まだ状況が呑みこめていないひめのカラダに、レジーナのほっそりした腕が絡む。
「でも、自分から話す気は全然無さそうだから、強引な手段で白状させるしかないかなぁ」
「そうですわね。ふふっ、拷問ですわ」
「はわわわわっっ!」
 レジーナとトワの裸身に挟み込まれたひめが、顔を真っ赤にする。これから自分が何をされてしまうのかをようやく理解したようだ。
 ……無論、レジーナもトワも、本気で訊き出すつもりなど無い。ひめのカラダに色々するための単なる口実だ。
 ひめの後ろに回ったトワが、ぐいっと自分の上半身を突き出して、胸のまろやかなふくらみを少女の背中へと強く押し付ける。色香よりも健康美に満ちた、思春期特有の張りのある乳房の弾力。それを肌で直接味わったひめの背中が可愛らしく弓反る。
「はわっ、おっぱい当たってる~~っ!」
「フフッ、ひめが白状したい気分になるまで、たくさん気持ちよくしてあげます」
 13歳の少女の表情は、恥じらいつつも誘惑的。
 ひめの両肩を優しく抱いて、上体をゆっくり揺すった。綺麗な丸みを崩しながら、ひめのスベスベした背中に奉仕する乳房の肉感。
「はうぅ…うっ、あ…、トワのおっぱい、やわらかくて気持ち…いいっ」
 ぶるっ…ぶるるっ……。
 ひめの背中を這う震えが、くっつけた肌にはっきりと伝わってきた。
(わたくしの胸が……ひめを気持ちよくしている……)
 胸の奥で、喜びが無邪気にはしゃいでみせた。
「さあ、ひめ、あなたの甘い声をわたくしにもっと聞かせて。……これでは足りませんか? 激しくカラダを動かしたほうが良いのですか?」
 トワの裸身の動きに合わせて、湯がチャプチャプチャプと水音を跳ねさせる。
 くびれた腰を振って、前後に何度も動く白い上半身。
 瑞々しさの詰まった乳房の弾むような感触を、離してはグッと強く押し付け、離してはグッと強く押し付け。トワの目に浮かぶのは献身の色。しかし、カラダの奥には再び甘い痺れが這ってきている。
(はぁっ……あっ…、またカラダが火照ってまいりましたわ)
 ……微かに覚える背徳感。こんな姿、きららに見られたら、きっと誤解されてしまう。

 トワの努力の甲斐あって、ひめがフニャっ…と口もとを緩ませて喘ぎ出すが、同時に両目の端に敗北の涙の粒が盛り上がってきた。
 自分より年下の少女が、自分の胸には無い女の武器を使って攻めてくるという残酷な事実。
「あんっ、だめっ、背中…すごくきもちいいけどぉ……、なんかメチャクチャ悔しいーーっ!」

 一方、大胆な攻勢で白雪戦線を背後から突いたトワに対して、レジーナも負けん気を燃やす。
 ひめの左手をうやうやしく両手で握って、自分の口もとまで持ち上げる。
「あっ…」
 指先に震える息の感触が……。くすぐったそうに喘いだひめが、びくんっ、と左腕を震わせると、レジーナがその反応を愛しさで包み込むように笑ってみせた。青く澄んだ宝石の瞳が、ひめの心を捉える。
「だいじょうぶ、ひめにはあたしが素敵な夢を見させてあげる」
 そして、やわらかなくちびるが中指の先っぽに触れて、ちゅっ、と甘いくちづけの音を鳴らした。
 レジーナにとって、自分が望んだ相手以外には、たとえ目の前に世界中の富を積み上げてきても、さわらせてやらない場所 ――― それが、くちびる。
 ちゅっ。
 また、ひめの中指の先でキスの音が可愛く跳ねた。
(うっ…、指、くすぐったい……!)
 ビクッ、と悶える指先。くちびるのやわらかな感触を中指の先に這わせたまま、レジーナが顔を緩やかに左右に振る。ぞくりっ…と、ひめが背筋を震わせた。こそばゆいけれど、それ以上に気持ちよくて、指の骨が、手の骨が、甘やかに蕩けてしまいそう。
「ねえ、ひめ、トワには内緒であたしにだけ話してくれたら、ファーストキスの味、教えてあげる」
 レジーナがほんの少しだけ覗かせた舌で、ぺろっ…と中指の先っぽを舐め上げた。
 ひめには、今の彼女の言葉が本気なのか嘘なのか、正直分からない。
 レジーナは、どこまでも気まぐれで自由な姫君なのだから。

「あら…」
 トワのおっとりした声音が、ひめの耳たぶの裏を這う。
「では、わたくしはひめのカラダに、指遊びの味を教えて差し上げますわ。レジーナには秘密で、わたくしにだけこっそり話したくなるように」
 ひめの両肩を抱いていた手が、すぅーっと静かに湯の中へすべり落ちた。数秒もせぬうちに、ひめが甘い悲鳴をあげて、華奢な肢体を、びくりっ、と跳ねさせた。
 さわりっ…さわりっ…と、すべらかに尻の丸みを這う手つき。
「ふぁっ…あっ…あっ、やだっ、そんな所くすぐっちゃ……」
「お尻はいけませんでしたの? では、わき腹のほうを……」
「ああああっ、やっそっちはもっとダメ!」
「……では、おへそを」
「ヒッ…駄目っ、あっ、ふうっ…んっ、やだっ、トワっ、ぷはははははっ……ダメダメダメッ」
 ヘソの縁(ふち)をクルクルとなぞった指に続いて、両手の指がワシャワシャワシャと動いて柔らかな腹部を襲い、ひめの腹筋をビクビクと震わせた。
 笑い悶えるひめが、そのほそっこいカラダをよじって逃げようとするが、
「だーーーめっ!」
 と、レジーナの両手が、ひめの左右の手を握りしめて、ぐいっと自分のほうへ引っぱる。
「あはははっ……やだっ、レジーナ、手ぇ離してっ……あははっ……くひぃぃーっ!」
 たまに緩急をつけてくるが、基本的にトワの指は動きっぱなし。お腹をくすぐり責めてくる手から逃れるために強引に大きくカラダをよじったら、わき腹を狙われてもっとひどい事になった。
「あん゛っっ、助けてレジーナ、あははははっ……もうっ、無理っ、トワっ、ああっ……ひぃっ!」
 両手を掴むレジーナの手を振りほどこうともがいていたひめが、びっ…くんっ!!と激しい震えにカラダを貫かれて、がくりっ…と前のめりになる。
「あははははっ! あっ、ははははっ、ああっ…あははははっ…ダメッ……ふっ、ああっ、やだっ」
 ――― たまらなかった。
 びくっ、びくっ、と引くついているお腹に寄せては返す波のごとく、ワシャワシャと全ての指を動かす両手がヘソのあたりを目指して何度も這い寄ってくる。
「やだやだっ、あっ…あはっ…はははははっ、も…もう息苦し……あっ、はあっ、はあっ……」