「My First ....」/◆BVjx9JFTno




「あれれれ」


ラブが、周りを見渡す。


バレンタインデーのせいか、
ショッピングモールは大賑わい。


「さっきまで、いたのに...」


美希と、ブッキーと
はぐれた。




「ちょっと連絡してみるわ」


リンクルンを開いた途端、
美希からメールが入った。


「ちょっとブッキーとアクセサリ見るから
 フードコートで合流しましょ」


メールを、ラブに見せる。


「じゃあ、あたしたちも、ぶらっとしよっか」
「ええ」




行き交う人たちの笑顔と、
笑い声。


子供たちの、はしゃぐ声。


みんなの、幸せを
体いっぱいに感じる。


「あっ!チョコの試食があるよ!」


ラブに手を引かれ、
あわてて小走りになる。


私自身も、幸せを
発している。




以前、一緒に撮影した
機械があった。


「わはー!新型入ってる!
 せつな、一緒に撮ろ!」



中に入る。


フレームを選び、
撮影開始ボタンを押す。


4枚、撮影する。



いちばん大切な人と、
写る。


自然に、笑顔になる。


3ポーズ、撮影した。



以前の、ラブの行動を
思い出した。



私からも、想いを
先に伝えたい。



4ポーズ目の、合間。



ちょっと、緊張する。


目を閉じる。


横を向き、ラブのほおに
唇を寄せる。




触れた感触が、
違っていた。



シャッターの音。



薄く、目を開く。


視界いっぱいに、
ラブの瞳が見えた。


次の瞬間、ラブの瞳が
倍以上に大きくなった。



「きゃっ!」
「わわわわわわ!」


飛び退るように、
離れる。


ふたりとも、
唇を押さえている。



「えっ?どしたの?」
「何?何?」




しばらく、ふたりとも
固まっていた。



混乱していた頭が、
徐々に落ち着いてきた。


同じことを考えて、
同じことをしたようだ。



メロディが鳴る。


現像した写真が、
外に出てくる。



ラブが弾かれたように
私の手をとって飛び出す。


写真を引ったくるように取り出し、
そのまま、しばらく走った。




モール内の、フードコート。


窓際の、端の席に
並んで座る。


「...えーっと」
「...」


お互い、顔を
直視出来ない。



「あたしが狙ったのは、ほっぺ」
「ええ...」


「せつなが狙ったのは?」
「...ほっぺよ」



「...写真、見てみよっか」
「ええ...」



自然な笑顔の、3枚。
我ながら、いい表情。



4枚目。


お互いに向けた想いが
引きつけ合った瞬間。


とても優しい表情で
唇を重ねている、ふたり。




「お待たせー...って、どうしたの?」
「顔真っ赤だよ。風邪でもひいた?」


「いやいや、何でもないよ!」
「ちょっと暖房が効きすぎてるかしら...」



テーブルの下で、
ラブの手が触れた。


指を絡める。



「えへへ...」
「うふふっ...」



「何よふたりとも、気味悪いわね」
「何かいいことでも、あったの?」



唇によみがえる、
初めての感触。


甘酸っぱくて、
くすぐったい。



美希とブッキーの
怪訝な表情。



ごめんね、変でしょ。


でも、変になりそうなくらい
いいことが、あったの。



ラせ1-1は、しばらく前の二人