夢への道 4話 吐き出す気持ち きららの涙




きらら「トワっちも苦労してるんだなぁ~」

トワ「きらら?」

きらら「私もさぁ、向こう行ってから慣れなくて大変でさぁ 言葉は通じないし 周りは知らない人だらけじゃん? そりゃ 覚悟はしてたつもりだよ。でも考えが甘かったっていうか・・・」

今度はきららが話し始めます。

きらら「井の中の蛙大海を知らずっていうのかな 世界はやっぱりレベル高いわぁ~・・・ 私なんかまだまだひよっこレベルだって思い知らされて うちのめされて・・・ 何もかも嫌になっちゃって そんで、ホームシックっていうのかな 日本に帰りたい みんなに・・・トワっちに会いたいって死ぬほど思った事もあった。」

トワ「きらら・・・」

情けなさそうに話すきららをトワはとても心配そうに見ています。

きらら「だけどね!こんな所で落ち込んでいる場合じゃない!!って何度も自分を鼓舞して頑張って来たの」

トワ「・・・」

きらら「それで・・・やっと向こうの雑誌にも載ることが出来て」

そう言って 一冊の雑誌をカバンから取り出すきらら。

トワ「まぁ・・・」

それはステラと共にきららが表紙になっている雑誌だった。

きらら「まあ、実際はステラのオマケ的な感じなんだけどね(苦笑)」

そう言いながらページを開くきらら。そこにはかっこよく服を着こなすきららが載っていた。

トワ「よかったですわね 雑誌に載る事が出来て♪」

そう、微笑むトワに 嬉しくなさそうなきらら。

きらら「そう・・・思う? でも さっきも言ったように ステラのオマケっていうか ぶっちゃけ私の実力じゃないのかもって感じちゃうんだよね」

雑誌から目を反らしているきらら

トワ「でも 雑誌に載れるなんて 凄い事ではないですか!」

きらら「そりゃあ 凄いことだと思うよ。でも プロの世界はもっと もっと凄いんだ・・・ それに 雑誌にまともに載れたのまだこれ一回きりだし」

どんどん元気がなくなるきらら。そんなきららにトワは言います

トワ「きららは、日本を去った事 こうかいしている?」

きらら「・・・どうだろう 後悔していないと言えば嘘になるけど 正直よく分からないや。でも 日本にいた頃はよかったって思う事はあるよ あの頃に戻りたいって何度も 何度も思った。」

トワ「きらら・・・」

今にも泣きそうな顔をしているきららをみて トワは とても心配していました。

きらら「なっさけないよねぇ・・・ 世界に輝くトップモデルになるって!大口叩いてたあの頃私は一体どこにいったっての(笑)・・・・」

トワ「きらら!」

トワはきららを思いっきり抱き締めました。

きらら「ちょっ!・・・トワっち!?」

戸惑っているきららにトワは言います。

トワ「情けなくなんかありません・・・。 辛いと思う事の何がいけないんですか! 」

きらら「トワっち」

トワ「私も同じです。大好きな故郷に帰ったはずなのに とても辛かった。みんなと永遠のお別れをした悲しみでずっといっぱいでした。」

そのまま溢れんばかりの涙を流してトワは続けます。

トワ「みんなに心配をかけまいと 私も自らを奮い立たせ 悲しみを隠して 前を向いていこうとしました。」

きらら「・・・」

トワ「でも、それが駄目でした。かえってみんなに心配をかけてしまったようで・・・。 それに 一度負の感情に飲まれると なにをやっても駄目な気がして ますます落ち込みましたわ・・・。 」

トワの表情は とても辛そうでした。きららはどうしていいか分からず 黙ってそのまま話を聞いているしかありせんでした。

トワ「私は思いましたの。今の自分はまるでトワイライトだった時の自分のようだと。」

きらら「・・・」

トワ「離ればなれになって 改めて はるか達の存在の大きさを思い知りました。私が今まで頑張ってこられたのは はるか達がいてくれたから・・・。結局私は一人では駄目だったと思い知らされましたわ。」

きらら「・・・そうだね 私も同じだったよ。私が頑張ってこられたのは はるはる達の応援があったからだって 今の私が・・・ 天の川きららが輝けるのは 私だけの力じゃなかったんだって 思ったよ」

きららは悲しそうな顔で言いました。

トワ「でも 久し振りに再会した時、はるかに言われました。悲しい時は泣いていい、辛いときは辛いと言っていい! 前を向いて進む事と無理をして気丈に振る舞うのは違うと 怒られてしまいましたわ」

きらら「そうだったんだ・・・ でも はるはるらしいね」

その場面を想像してなんとなく納得するきらら。

トワ「トワイライトだった頃の私は確かに孤独でした・・・しかし、今は違います。お兄様にお父様 お母様 パフ達に国のみんな・・・ 私の事を想ってくれる人がいる事にはるかのおかげで気づかされました。一人で抱えこんでいた事に私は心から恥じました。」

きらら「トワっち・・・」

トワ「きらら、あなたも一人で抱え込まないでください。」

きらら「!! 」

トワ「無理をしているあなたをはるかはとても心配していましたわ。はるかだけではありません。みなみもゆいも 私だって!!」

きらら「・・・」

トワの言葉にきららは言葉もありませんでした。

トワ「実は はるかに頼まれていたのです きららの事を。きっと私にならきららも心を開いてくれると はるかは考えたんだと思います。」

きらら「そっか・・・」

はるかには敵わない。きららはそう想いました。

トワ「だから きらら その・・・ 」

言葉に詰まるトワにきららは言います

きらら「私ね・・・ ずっと辛かったんだ。だけど 落ち込んだってどうにもならないし、みんなに心配かけたくないじゃん?」

トワ「きらら・・・」

きらら「でも みんなと久し振りに会えると嬉しくて つい 甘えたくなっちゃって そんで 気を紛らわそうと思ってやけ酒したりもしてさ・・・」

きららは本当の気持ちを洗いざらいトワに話します。

きらら「でも 全然ダメダメだねぇ・・・ みんなにも心配かけちゃって 本当 情けない・・・」

きららの眼には涙が溢れていました。ぎゅっと強く抱き締めてトワが言います

トワ「ごめんなさい 私には こうして 話をきく事ぐらいしか 出来ません・・・。」

きらら「それで 十分だよ。トワっち しばらく このままでいてもいい?」

トワ「ええ。きららがそれで気が済むのなら 私は構いませんわ(微笑)」

きらら「・・・ありがとう トワっち(泣)」

きららはしばらくトワの胸を借りて泣いていました。トワは何も言わず優しくきららを抱きしめてくれていました。
心なしかトワの小さい胸が大きくきららには見えました。



最終更新:2016年02月20日 14:23