『マダムモメールの憂鬱』|Mitchell&Carroll




 ブルブル……日本の冬は寒いのね。何か温かい飲み物でも飲んで、ひと休みしようかしら。
……まあ、移動販売のドーナツ屋さん?丁度良かったわ。ついでに甘い物でもいただこうかしらん♪

「すみませぇ~ん、オススメのドーナツ三つと、何か温かい飲み物、くださるぅ~ん?」
「ごめんねーお客さん。今、あの子達の分で材料切れちゃって、今日はもう店じまいなのよ。また来てねー」
「まあっ、何ですって!?お詫びに私のドーナツの穴、埋め(自主規制)」

 ははぁ~ん、あの小娘たちね?ここは一つ、さりげな~く会話に加わって、さりげな~くドーナツを分けて貰おうかしらん。

「あらぁ~若いっていいわね~お肌もツルツルで!ねぇ、何のハナシしてたの?」
「ひっ!?ねぇ、ラブちゃん、どうしよう!?」
「お、落ち着いてブッキー!こういうときはたしか、背中を見せないようにして、そのまま後ずさりして……」
「それは熊に遭った時の対処法でしょ?私は全然平気よ。ファッション業界はこういう人ばっかりだから」
「ラビリンスにはこういうタイプの人はいなかったわ」

 なんだかリアクションがバラバラね。まあいいわ。手っ取り早くドーナツいただきましょ。

「あらぁ~ん?おいしそうなもの食べてるじゃな~い!ホントにおいしそうね~(ジュルジュルペロペロ)!
 ねっ、それひとつ分けてくれなぁ~い?」
「(こ、この人は動物学的には♂なの!?♀なの!??)」
「(この人、口の回りが真っ青……さてはどこかでブルーハワイを!?)」
「(素材、色遣い、内側からにじみ出る美意識……この人、只者じゃないわ!)」
「(ラビリンスの科学力を持ってしても、この人の特性はデータ化できそうにないわね)」

 あら?みんな神妙な面持ちになっちゃって……さてはドーナツをよこさないつもりね?
力ずくで奪っちゃおうかしら。でも、モメ事は起こしたくないわ。ええ、アタシはもうモメ事を起こすのも見るのもイヤ!

「ねぇ~ん、一口だけでいいから、それ、くれないかしらぁ~ん?」
「あ、ああっあなたはおすなのめすなのぉ~~っ!??」
「どっどどっどこでぶるーはわいを~~っ!??」
「ぶっぶぶぶぶぶらんぶらんどどど!!!」
「◎△$♪×¥●&%#!!!」
「ちょっと!テーブルがひっくり返っちゃったじゃないの!!もぉ~なんなの~!?モメモメ~~~ッ!!!」


 おわり