今思えば、せつなは最初から、あたしにとって「特別な存在」だった。



占いの館で初めて会ってから、時々街で会うようになった。


ドーナツを食べたことがないせつな
ボーリングをしたことのないせつな


普通の女の子だったら、一度は体験したことがあるようなことばかり。
そんなあたりまえのことを経験したことないせつなに、
あたしが楽しくなることを教えて、一緒に幸せをゲットするのが嬉しかった。


そして、あの四つ葉のクローバーのペンダント


幸せを見つけていないというせつなに、
あたしは幸せの素だという四つ葉のペンダントをプレゼントした。
少しでもせつなが幸せをみつける手助けになればいい、そう思った。


あたしはその時、せつなを新しくできた友達だと思っていた。
だけど、それだけの存在だったのだろうか?



せつながイースだと分かった時、悲しかった。
その時カオルちゃんが言ってくれた「罪を憎んで、人憎まず」という言葉。
目から鱗が落ちる思いだった。
せつなを憎まなくていい。せつなをラビリンスから助け出さなきゃ。
そういう思いはあたしの力の原動力となり、
あの雨の日の激闘で、イースからせつなを取り戻せた気がした。


せつながキュアパッションとして生まれ変わった後、
姿の消えたせつなをあたしは必死に探した。
そして、身寄りのないせつなを、あたしは両親を説得して、うちに引き取ってもらった。


だけど、それがせつなでない他のだれかだったら、
あたしは全てをかけてまで闘ったり、両親を説得してまで一緒に暮らしただろうか?





ある日の深夜。


眠っていたあたしは、人の気配を感じて目を覚ました。
誰かいる?窓側に人が立っている気配がする。
あたしが目を開けると、月明かりを背にしてせつなが立っていた。



月の光に照らされ、せつなの髪は銀色に輝く。
もしかしてイースが蘇った?
そう思えるほど、せつなの表情は硬かった。
あたしが起きていることを気付いていないらしく、あたしのベッドに近づいてくる。



あたしのベッドの横に立ちつくすせつな。
そばで見るせつなの髪は月に照らされて輝き、まるでイースであるかのように見える。


もしかして、本当にイース?
あたしに危害を加えようとしている?


変身していない状態のあたしでは、イースであったら敵わない。
たとえせつなであっても危害を加えるつもりなら、無事では済まないだろう。
プリキュアとしては、ここは逃げるか、助けを呼ぶかしなければいけない。
そういう計算が一瞬頭を駆け回る。



だけど、そうしたくない自分に気づく。
もしこれがイースであってもせつなの一部。
せつながあたしに何をしようとしているのか分からないけど、
それを全て受け入れよう、そう思い、目を静かに閉じる。




それから、何も起きない。
目を開けて、せつなに声をかけようと思ったとき、



あたしの唇に、柔らかな感触。
一瞬だったけど、もしかしてキス?


「ごめん、ラブ、ごめん。・・・ごめん」


目を開くと、大粒の涙を流し、あたしに謝り続けるせつな。



あたしがせつなの頬を伝う涙をぬぐうと、
はじめてあたしが起きていたことに気付いたようで、
せつなの全身がビクッと跳ねる。



「ラブ、ごめん。・・・本当にごめんなさい」
あたしの手を取り、ベッドの横に跪き、まるで神に許しを乞うように謝り続ける。


せつなはあたしに顔を見られたくないのか、
あたしの視線を避けるように、顔を伏せる。


あたしは黙って布団の端を上げて、せつなを中に誘う。
布団の中に入ったせつなは、あたしに背中を向け、押し殺した嗚咽を漏らしている。


「せつなが何も言いたくないなら、あたしは聞かないよ。
でもこうしたら、安心するよね」
と言って、後ろから包み込むように抱き寄せる。





あたしの息が首筋にかかったのか、
「ふふっ、ラブ、くすぐったい」
せつながくすぐったそうに、身をくねらせる。



やっと、せつなが笑ってくれた。
あたしは嬉しくなって、息を吹きかける。
だんだん、せつなの吐息に甘いものが混じり始める。


あたしは大胆になって、
せつなの前に回した手で、パジャマの上からせつなの胸を触ったり、
目の前にあるせつなの白い首筋に、舌を這わせたりする。
そうしても、せつなは抵抗しない。



気がつくと、あたしはせつなの衣服を全て剥ぎとり、
すべての神経を研ぎ澄まして、せつなの感じるところに、
手で触れたり、キスをしていた。



これから、最後というところで、あたしははじめて躊躇する。
ラビリンスで育ったせつなは、この後のことは分かっているのだろうか。





手を止め、せつなの顔を見る。
せつなは眉間にしわをよせ、苦悶の表情にも見えるが、
口元が緩み、苦しみの中にも陶然としているように見える。
感じているのは間違いない。
あたしの手はせつなの体液でベトベトになっているし。



逡巡しているあたしを不思議に思ったのか、せつなは閉じていた目を開け、
せつながこの部屋に入ってから、はじめて視線があった。
お互い無言で視線を交わし合うが、あたしは何を言っていいか分からない。


せつなははじめて?
ここからは痛いよ?
ここで止めたほうがいい?


最後は言ったほうがいいかな?
でも、もっと違うことを言わなきゃいけない気がする。
だけどそれがなにかは分からない。



「えっと、せつな」
「ラブ、この後は痛いのよね。私なら大丈夫」



その言葉に勇気を得て、せつなの中にあたしの中指を入れる。
狭い・・。まるで肉を切り裂いていくような感触に、せつなの痛みを感じる。
せつなの眉間のしわは更に深くなり、体中に力が入っているのが分かる。


「せつな、力を抜いて」
あたしは少しでも楽にさせてあげたくて、声をかけるが、体が上手く動かないみたいだ。
快感を得たら痛みを忘れる、というようなことを誰かに聞いた気がして、
あたしは必死に、どうすればせつなが感じていたかを思いだして、
あたしは手や唇を、せつなの肌に滑らす。


それが功を奏したのか、少しづつ中の締めつけはゆるみ、
あたしの中指全てがせつなの中に。





相当痛かったのだろう、せつなの頬には乾ききっていない涙の跡が。
「ゴメン、せつな、ゴメン」
「それさっきの私のセリフじゃない」


こんなときだけど、可笑しくなって、二人の口から笑いが漏れる。
笑った瞬間、肩の強張りが解け、あたしも緊張していたんだとはじめて気付く。



「せつな・・・」
せつなの顔を見ると、もう夢の中。
笑って緊張が解け、眠くなってしまったのだろうか?
静かな寝息を立てている。


あたしはかえって目が覚めてしまい、
せつなの髪をなでようと手を上げると、暗がりでもはっきり分かるせつなの血。


せつなを傷つけてしまったことの罪悪感で心が痛む。
だけど、不思議なことに後悔の念は全くなかった。



その時のあたしに分かっていたのは、このことを後悔していないということだけだった。






SABI4