GAMBARANS DE TENNIS/makiray




「きらら」
「あれ、みなみん」
 二人は渡り廊下で同じことを言った。
「どうしてテニスの恰好?」
 言うことも同じなら、考えることも同じ。ミス・シャムールにテニスを教わっているはるかを手伝いに行こうというのであった。
「忙しいのではないの?」
「それは生徒会長も同じでしょ」
 みなみは、ふふ、と笑った。寮に向かって歩き出すふたり。アロマが「レッスン・ステージ」の空間に入れてくれるはずだった。
「きららはバスケット、やったことあるの?」
「撮影でね。ちょっと練習した」
「撮影?」
「うん、雑誌でスポーツ系ファッションの特集をしたことがあって。
 ただボール持って突っ立ってればいいってもんじゃないからね。あたしのポーズが様にならないと服がかわいそうだから、事務所通してプロの選手にお願いして一週間くらいコーチつけてもらった」
「そう。それであんなにいい動きなのね」
 長い足で床を蹴って高いジャンプ。練習を見た生徒たちの中で、男女問わずきららのファンが増えたようだった。
「みなみんは?
 サッカーってイメージと違うけど」
「去年の対抗戦で、出られる種目がなくて、ちょうど人数が足りなかったサッカーに入ったの」
「へぇぇ」
「何もできなくて、ただ走ってるだけだったから、結構、練習させられたな」
「練習したんだ」
「うん、クラスメートにかなりしごかれ…え」
 きららがみなみに腕をからめてきた。
「みなみん、最高」
「ちょっと、どうしたの?」
「あたし、頑張る人、好きなんだ」
「きらら…」
「最初はさ、完璧超人の生徒会長って聞いて、なんだそれ、って思ってたけど。
 ぜーん然、違うよね。
 バレエの練習してるところもちらっと見たけど、すっごい真剣。ちゃんと頑張ってる」
 みなみの頬がかすかに染まった。
「改めて、よろしくね、みなみん」
「きららのショーを見たとき、思ったの。『オーラ』ってあるんだなって。もう視線が自然にきららに向かっていってしまう。
 それは日々の努力に裏付けられている。この人はすごい人なんだって――」
「えっと…その辺にしとこうか」
 きららの頬も紅潮している。お互いに照れ笑い。
「さ、行きますか。今、一番頑張ってる人のところに」
「えぇ」
「どこまで上達してるかなー」
「はるかは成長が早いから、もう抜かれてるかも」
「え、それはまずい。あたし、自分の練習に行こうかな」
「本当?」
「んー、見てから決める」
 みなみがまたくすっと笑った。きららも、にし、と笑い返した。