ねぎぼうの140文字SS【29】


1.ラブせつで【 ウインクの行方 】/ねぎぼう


普段はちょっと厳しいところのある美希がウインクするのは、
ちょっとユルさを認めるとき。
ブッキーは茶目っ気を込めてウインクをする。

それならラブのは?
好意の印、にあたるらしい。
それなら、ウインクの行方に私がいて……いいのかしら?

この世界で知った「ドキドキ」という感覚がまた、来た。


2.ラブせつで「轟音」/ねぎぼう


夕暮れの道をせつなと歩く。
あとどれくらいこうしていられるだろう。
陸橋の影が二人を覆う。

「本当はね、あたし、せつながずうっと……」

電車は通り過ぎていった。

「ラブ、何か言った?」
「言わない」
「何よ、変なラブ!」

やっぱり聴こえなかったんだ……よかった。
でも、聴こえていて欲しかった。


3.マナりつで【後悔なんてしない / 秘密だよ】/ねぎぼう


あたし、変身する。
今までだってさんざん巻き込んできたんだから、後悔なんてしない。
六花のこと信じまくってるから。

――

あんたって本当ありえない。
でも、あんたの心は私が守るから。

――

「学校の皆には秘密だよ」
「解ってる(皆に問い質されても髪の毛触っちゃダメよ)」
「(モチのロン!)」


4.ラブせつで『自分だけ知ってればいい』/ねぎぼう


「さぞかし華やかで楽しい人生を歩んできたことでしょうね!」

悪事を強いられ、泣き叫ぶような痛みも背負ってきたこと。
一度は命を落としたこと。
そして今でも時々うなされて……今は自分だけ知ってればいいこと。
それでも抑えられなかった。

「嫌い!あんなひどいこと言う、今の大輔は嫌いだよ!」


5.ラブせつで『唯一の』/ねぎぼう


言葉が届かなくても、せつなと全力でぶつかりあう。
それが今のあたしに出来る唯一のこと。
もう逃げたりしないよ、現実からも。
もし貴女が敵なら、敵じゃなくせばいい。
本当は戦うより抱き合いたいから。
そのためにも、せつなの痛みともあたしの痛みともちゃんと向き合う。
自分の心を鬼にして、ね。


6.六花×マナで【息をはずませて / 唇を重ねたまま】/ねぎぼう


到着ロビーでの六花の姿を認めるや否や、
マナは息をはずませてその心配顔の元に駆けていく。

「ハイ、桃まん。流石にパパのじゃないよ」
「いきなり世界を旅してくるって、マナったら何年……」
「六花、ただいま」
「あんたってホントありえない、んっ……」

(愛してるから)

その言葉は唇を重ねたままで。


7.ラブせつで『とっちゃ、やだ。』/ねぎぼう


「最後の一個はアタシが」
美希が悪戯っぽく言う。
「あ~とっちゃ、やだ。その一個はね……」
「わかっているって、ラブちゃん」
「も~」
ラブはドーナツを大事そうに抱える。

「せつなによろしく伝えてね」
「ありがとう、今回は1時間しか帰れなくってごめんって」
「今夜は家族水入らずの夕ご飯、なのね」

※せつなはラビリンス再建の仕事をしていますが、
ごくたまに休みを取って四つ葉町に帰ることもある、ということで。


8.ラブせつで【 それ、半分ちょうだい 】/ねぎぼう


『それ、半分ちょうだい』とでも言いたいの?
そうジロジロ見られて、リンクルンを狙っていることも見透かされては元も子もない。
ドーナツなるものを二つに割って半分やることにした。
それにしても何て煩い子なの?
こんなもので……え?

「美味しいわ」

私は何を言っている?
そう、これはお世辞よ!


9.ラブせつで【 頭をなでて 】/ねぎぼう


風邪、らしい。
気がつけばベッドの上。

今は傍にラブが居てくれてる。
濡れたタオルを替えるときに頭をなでてくれた。

「小さい頃、お母さんがこうしてくれたんだ」
「そうなの?」
「お母さんがなでてると、せつな、すごく楽そうになってたよ。だから、あたしもね」

(ありがとう、ラブ、お母さん!)


10.ラブせつで【うしろから見ないで / 可愛い声が聴きたい】/ねぎぼう


「何読んでるの?」
「きゃっ!」

ニッとするラブ。

「もう、うしろから見ないで!」

ドキッとして慌てて本を閉じる。

「びっくりしたせつなの可愛い声が聴きたいから。元々可愛いんだけど」
「何言っ……」

私の言葉をラブの唇が塞ぐ。
構って欲しかっただけ?
よかった。
「AB型を知る本」は隠しておく。