ねぎぼうの140文字SS【28】


1.ラブせつで『お気に召すまま』/ねぎぼう


「『世界は舞台、人は役者(お気に召すまま)』か……」

シェークスピアの戯曲を手に、サウラーはその一節を呟く。

「なら、やはりこの世界はメビウス様の戯曲たるべし、ということだね」

街に向かうせつなの背中を見送る。
ペンダントの煌めきがこの世はダレかの戯曲でもない、と言うようだった。


2.ラブせつで「桜」/ねぎぼう


再建なるまでは会わない、そう決めていた。
でも、少し遠くからなら……

――白詰草の丘から眺める街はあの日のまま。

(今日も笑顔で溢れているのかしら)

ある一面が春の風に吹かれてふわふわと揺れている。

「ラブの色……?」

嬉しさと後ろめたさを抱えて、その光景に背を向けた。
今度逢うときは……


3.[競作2015]「大切なたからもの」/ねぎぼう


昼下がり、シフォンがせつなの膝の上で眠そうにしている。

「タルト、クローバーボックス使ってもいい?」
「……うん、ええで」
「ウチも聴きとうおすえ」

ラブはハンドルを握り、ゆっくりと回し始めた。
スイーツ王国の秘宝から奏でられるのは今はただ優しい子守歌。

安らかな寝顔は大切なたからもの。


4.まこりつ=『蜂蜜たっぷりホットケーキ』+「嫌いになってもいいからね」/ねぎぼう


「私が焼いたの」

真琴は六花の焼いたソレをみて思わず頬を手でおさえる。

「美味しそうだけど……」

あの時の恐怖を思い出したらしい。

「大丈夫よ。見かけほど甘くないし、蜂蜜は喉にもいいのよ」
「嫌いになってもいいよ!私が全部食べちゃうから」
「こら、レジーナ!これはまこぴーの陣中見舞いよ!」


5.ラブせつで「反省」/ねぎぼう


(ラブはすぐ感情に流されるんだから)
(せつなは融通がきかない石頭だよ)

背を向けてしまった二人。

(でも)

互いを思いうかべる。

(いつも人のことを思っているのだわ)
(いつも真面目に物事を考えているんだよね)

それなのに……言い過ぎてしまった。
そう思った二人はベランダの窓に手をかけた。


6.[競作2015]「大切なおくりもの」/ねぎぼう


ボッ、ボッ、ボッ……

古びたボールでなおはリフティングを続ける。
昔お父ちゃんが買ってくれたプロ用5号球。

サッカーに出会って、
夢中になって、
もっとうまくなりたいって思った。

でも女の子だし、
お姉ちゃんだし……

そんなとき
「本気でサッカーがやりてえんだろ」

その思いは今でも伝わってくる。


7.ラブせつで【 授業が終わったあとの教室 】/ねぎぼう


補習を終えたラブが教室に荷物を取りに戻ると、
授業が終わったあとの教室に残っていたのはせつな一人。

「待っていてくれたの?」

こくりと頷く。
教室に差し込む夕日が二人の頬を照らす。

ラブはそんなせつなをみると何だかドキリとする。

「いい……かな?」
「教室よ?」
「大丈夫だよ、誰も来ないし」


8.マナりつ「2月28日はビスケットの日」/ねぎぼう


六花が共用試験の勉強に集中している。

「あんまり根をつめるとだめだよ~」
そう言ってマナはビスケットの欠片を口に咥えてにゅっと突き出す。

「何それ?」
「あふぁいふぉのふぉ……」
「何言ってるかわからない……んぐっ」

(無理矢理押し込まれたらしい、舌で)

「もう、マナったら!でも、ありがと」


9.[競作2015]みゆき&あかね「大切な時間のはじまり」/ねぎぼう


「雨か……走って帰ってこましたろ!」

腰のカーディガンが引っ張られる。

「星空さん?」
「日野さん、こんな雨の中濡れて帰ったら風邪ひいちゃうよ!」
「大丈夫やし、こないな雨」
「ダメ!私、傘持ってるよ。一緒に入ろ?」
「へへ、ありがとさん」

星も太陽も隠す雨を、
少しいいかもと思い始めた二人。


10.[競作2015]ラブ&せつな「大切な人と一緒に」/ねぎぼう


「幸せの素?」

イースの視線の先には四つ葉のクローバー。

「すごいよせつな。幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーはね、
心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ!」

――

あたしもね、本当はずっとさがしてたんだ。
貴女と一緒だから見つけられたんだよ。

これからも、ね。

ありがとう、せつな!

競作2-33に続くSSです。