正路BADENDのIF展開3※BL注意
正路BADEND妄想1/二十日から派生したIF展開。
正路BADENDのIF展開2※BL注意/二十日の続き。

【登場キャラ(敬称略)】
フェイツ真島 正路フェネキッス



彼の指が根元から落ちた。
音もなく。
蒼ざめて冷や汗をかいていた苦悶の表情が、わずかに緩んだ。
悪魔フェネキッスが彼の願いを叶えたのだ。
「何の……つもり、デスカ?」
頭のなかで様々な思想が交錯していた。このまま彼を逃がしてはいけない……せっかく契約した餌を逃してはならない……矜恃に関わる、という悲鳴もあったが……
そんなものより、もっと大きく胸中で響くものがあった。
(……この人は、結局自分を信頼してくれた事などなかったのだ)
そう仕向けたのは自分だ。だいたい、悪魔を心から信頼するような馬鹿に、興味など湧くはずない。
なのに、そう心のどこかで思ってしまった。逆に、胸がスッとする。
結局、人間と分かり合えることなど、なかったんだ。

「フェイツ。お前にはもう何も食わせてやれない」

もしも、僕が人間だったら、彼は心を開いてくれたのだろうか。この血が赤く、この呼吸に生気があれば、彼は……
……彼は。

「すまなかったな」

人間は残酷だ。
人間は、どうして、言葉で魂を殺す術をもつ。
最後、聞きたかった言葉はそんなものじゃ、なかった……
ただ、生きて。
生きていてくれれば……“それだけでよかった”。

彼の唇が動いた。
腕を振り上げる。

僕は、ツバメの化身だ。
音もなく。速く。何よりも速く。
なんの障害もなく、彼を、殺せる。

彼の喉を翼の刃で刻み、
鮮血を浴びる暇さえなく、
もう片手で、彼の心臓を握り、潰す。
あたたかくて、柔らかくて、まだ生きていた。掌のなかで粉々になっても、まだ細胞片は動いていた。
彼は気づいただろうか。僕の姿も見えず、痛みも感じず。それでも、死を感じただろうか。
貴方の胸を潰したことは復讐だ。
僕の胸を潰したことへの……

「……魂は、貴方の手元へ」

目を白黒させているフェネキッスに、微笑みながら言う。
「体は、僕が貰いマス」

首と胸から血を流す彼の遺体を抱いて、体を組み替える。巨大な鳥に変化し、空へ飛び上がった。