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正路さんの部屋を掃除するだけの話/ミナカミ」(2013/01/26 (土) 00:12:20) の最新版変更点

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''正路さんの部屋を掃除するだけの話'' ※山もオチも意味も無い ※途中ほんのりエロ要素が出るのでお気を付け下さい 【登場キャラ(敬称略)】 [[フェネキッス]]、[[真島 正路]]、[[ギフト]]、[[メネ]] ---- 「掃除を致したいと思います!」  真島正路にそう提案したのは、触手のような髪をうねらせた長身の男、フェネキッスだ。 「掃除だぁ?」  毎日やってるだろうが、と正路はフェネキッスの脛を蹴る。毎度の事ながら容赦がない。「やってる」ではなく「やらせている」ではないだろうかと突っ込むのは、蹴ってくれと言うようなものだ。敢えて黙っておく。 「いえ、今回はいつも以上に気合を入れて! なるべくチリ一つ残さず、九分九厘清らかな空気で部屋を満たせば良い事が起こりそうな気がします!」  諸手を挙げるように掲げられた触手の一本一本が掃除道具を持っている。器用なものだ。 「フェネ先輩、そこまで徹底的に部屋を清める必要があるのでしょうか?」  正路の家は客観的に見ても綺麗だ。しょっちゅう悪魔や異界の人間に荒らされるが、フェネキッスやフェイツ、そしてギフトの尽力でこの美しさを保てている。 「ありますとも」  フェネキッスはふふんと鼻を鳴らして消臭剤をギフトに向けて吹きつける。人工的なフローラルの匂いに思わず顔をしかめた。 「どこぞの誰かさんがそれとなく空気を汚してますから」 「小生の事で御座いますか」  ギフトの体は猛毒のガスで出来ている。空気を汚すと思われるのも無理はないが、これは甚だ誤解である。 「確かに小生の体は人の子からすると害毒にしかならないでしょう。ですが、害毒を垂れ流すほど小生は堕ちておりません! 小生の体から漏れ出る空気は煙草よりも無害、人の子が口から放つCOと同等と考えて頂きたい!」 「……お前、確か『汚れた空気』が主食だったな?」  正路が渋い顔をして口を開く。 「ええ」 「そんで、体から人間の呼気と同程度の汚れた空気を常に漏らしていると」 「それが何か問題でも?」 「人間で例えるなら常に小便垂れ流してるようなもんだな?」  正路はフェネキッスの触手から消臭剤を奪い、まるで銃のようにそれを構える。 「今からこの部屋の掃除をする。お前は帰るか寝室で閉じこもってろ」 「お言葉ですが正路殿、小便という表現は小生の体質からすると適切では御座いません」 「ルンバ殺しが何を言う」 「あれは冤罪で御座います!」 「ほらほら、罪人は追放されるか収監されるか選んだ方が良いかと思われますよ?」  フェネキッスがにやにやと笑みを浮かべながらあらゆる除菌グッズを構える。 「……横暴だ! 民主主義は死んだのですか!」  ギフトは両手で顔を覆い、しずしずと正路の寝室へ押し込められた。  * * *  正路の寝室は居間と同様に片付いている。本棚には凶器になり得る厚さを誇る専門書と、濃い絵柄と独特のポーズが特徴的な漫画がずらりと並んでいる。そう言えば途中で読んだきりだったなと思い出し、続きの巻をつまみ上げて読み始めた。  居間では正路とフェネキッスが掃除を進めている。聞き耳を立ててみると、予想通りフェネキッスが良いようにこき使われている。 (……何故わざわざこき使われるような真似をするのでしょう)  フェネキッスは嬉々として正路に使われるタイプではない。この掃除が契約に繋がるとは思えないし、理由がさっぱり分からない。  漫画を読み進めながら掃除が終わるのを待った。  誰かが来たのだろう。居間がにわかに騒がしくなった。正路の苛立った声が、好ましくない来客である事を現している――と思っていたらふいに扉が開かれ、一匹の女悪魔が寝室に放り込まれた。 「部屋から出たら契約はナシだ。……漫画も汚すな」  正路はぎろりとこちらを睨み、威圧感たっぷりに扉を閉めた。 「いたた……ご主人様ったらひど~い!」  放り込まれたのはやたら露出度の高い服を着た褐色の女悪魔、メネだ。「メネ嬢ではないですか」と一応挨拶をする。 「あっ、ギフトじゃないですかぁ~」  メネは体をくねらせてベッドに腰掛け、ギフトの顔をじっと見た。 「一人だったらすっごく暇なところでした、よかった~!」 「メネ嬢も漫画を読まれますかな?」  ギフトが本棚の漫画を指差すが、メネは不満げに唇を尖らせる。 「え~そんな事よりもっと楽しい事がした~い」 「楽しい事とは?」  ギフトが漫画から目を離してメネの方を見遣ると、メネはベッドにころんと寝転がって蠱惑的な体をギフトの眼前に晒している。 「……小生にそれを求めますか」 「ダメ?」  悪戯っぽく微笑む。流石、色香を武器にする悪魔と言ったところだ。 「ギフトのえっちな顔、見てみたいな~」 「人間の愛が欲しいのではないのですか? 小生は見ての通り、悪魔で御座いますよ?」 「悪魔に愛されるのもそれはそれで面白そうかなって」 「……そうですか」  ギフトは漫画を閉じて本棚に戻し、右手だけを飛ばしてメネの首元、鎖骨の辺りを押さえつけた。 「幸い、今は退屈しております。そこまで望むのなら致して差し上げましょうか?」  メネは口角を吊り上げて笑う。ギフトは顔を近づけてその唇に触れる――寸前、顔を引いた。 「冗談で御座いますよ」  にこりと微笑んでみせると、メネは「え~」と頬を膨らませた。 「大体、小生は害毒の塊。いたずらに交わればメネ嬢の寿命を削ってしまいます」 「メネの心配してくれるんだ! 優しい~!」 「そう、小生は優しいのです」  右手も離してメネの体を解放する。メネも満足したのか、それ以上誘う事なくベッドに潜り込んで「ご主人様の匂いがする~」と昼寝に勤しみ始めた。  * * *  掃除が終わり、正路が相変わらず不機嫌そうな顔で寝室に現れた。ギフトを追い出し、メネをベッドから引きずり出して容赦なく蹴飛ばす。  居間は先程より遥かに美しくなっていた。空気も以前より澄んでおり、人間からするとさぞかし居心地がいいのだろう。 「どうです」  フェネキッスがにやにやと笑いながらギフトの顔を窺う。 「ずっと美しく変わりましたね。元から間食もままならない環境で御座いましたが、より一層つまむものが無くなったではありませんか」 「……それだけ?」  素直に感想を述べると、フェネキッスの顔がかすかに不満げになる。 「小生は清らかな空気の中でも生きる事は出来ますから。食事は余所で取ってくれば良いだけの話で御座いますし」  フェネキッスが「ぐぬぬ」と唸ったが、やはりその意図はギフトには分からなかった。 ---- フェネさんに嫌がらせされたい衝動とメネちゃんを押し倒したい衝動だけで突き進んで唐突に終わった感が100点満点

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